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 衆院選で自民、公明両党が定数の「3分の2」を維持した。改憲の国会発議に必要な勢力を安倍首相は再び手にした。

 本紙と東京大学による共同調査では、当選者の8割が改憲に賛成の姿勢だ。与野党を問わず改憲志向は強まっている。

 一方で、各党の考え方の違いも見えてきた。

 自民党は公約に自衛隊の憲法明記を盛り込んだ。首相は、自衛隊が違憲という論争がある状況に終止符を打ちたいと言う。「自民党内の賛成を得る段階ではないが、そういう観点から議論を進めていただきたい」と、9条改正に意欲を見せる。

 希望の党の小池百合子代表は「(政権を)サポートする時はしていく」というものの、自衛隊明記には「もともと政府は合憲と言ってきた」と否定的だ。

 公明党の山口那津男代表は9条改正は不要との立場だ。「野党第1党の理解を含めた合意形成を図るべきだ」と、与野党を超えた幅広い合意を求める。

 その野党第1党となった立憲民主党は、違憲と位置づける安全保障関連法を前提とする9条改正には反対だ。

 衆院だけではない。参院ではやはり9条改正に反対の民進党が、なお野党の最大勢力だ。

 首相はきのうの記者会見で、国会発議について「すべて(の野党)に理解を頂けるわけではないが、合意形成の努力を払うのは当然だ」と語った。

 「スケジュールありきではない」とも述べた。当然の姿勢だろう。

 国会の憲法審査会で、超党派による真摯(しんし)で丁寧な議論を積み重ねる環境をつくれるかどうかが問われる。

 時代の変化のなかで憲法を問い直す議論はあっていい。

 だが、踏みはずしてはならない原則がある。

 憲法は国民の人権を保障し、権力を制限する規範である。

 改憲はそうした方向に沿って論じられるべきであり、どうしても他に手段がない場合に限って改めるべきものだ。

 改憲にどの程度のエネルギーを費やすか。優先順位も厳しく吟味する必要がある。

 何よりも大事なのは、主権者である国民がその改憲の必要性を理解し、同意することだ。

 本紙の衆院選の出口調査によると、9条への自衛隊明記については賛成、反対とも46%。民意は二分されている。

 衆院選で示された自民党への支持は、必ずしも改憲への支持とは言えない。

 憲法論議が国民を分断するようなことはあってはならない。

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