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 ■カリスマ経営者はなぜ宇宙ビジネスに向かうのか

 「テスラ」を率いるイーロン・マスク氏や「アマゾン」のジェフ・ベゾス氏ら、世界の「カリスマ経営者」が宇宙に熱い視線を向けている。その現状と将来像について、日本人女性初の宇宙飛行士の向井千秋・東京理科大副学長と宇宙ビジネスに詳しい「SPACETIDE(スペースタイド)」代表理事の石田真康さんが議論した。

 朝日新聞社の大西弘美執行役員(デジタル・国際担当)が宇宙開発の歴史を説明、「国の威信をかけた活動だったのが、いまどうなっているのか」と尋ねた。

 石田さんは、米国では2000年ごろから宇宙に関わる起業が増えたと指摘。米国だけで約千社あり、世界で民間資金が年約2500億円流れ込んでいるといい、「日本でも一見宇宙と関係なさそうな企業による投資が増えている」と話した。

 商機はどこにあるのか。向井さんは「衣食住」をキーワードにあげた。「(月のような)重力が6分の1のところで、体温を調節する服や水を使わない洗濯も考えなければならない。テーマはごまんとある」と語り、リサイクルや省エネ技術を培った日本が貢献できると指摘した。

 宇宙と地球上の生活を結びつけるアイデアも披露された。たとえば、人工衛星で地形を3次元的に分析し、水がたまりやすい場所を予測してポリオの撲滅に使う事例が紹介された。石田さんは「衛星からの気象ビッグデータが注目をあびている。農作物の生産性を高めたり、効率的な船の航路を考えたりするのに使えるのではないか」と提案した。

 宇宙ビジネスを発展させる上での課題もあがった。石田さんは「新しいビジネスには資金の提供者が必要。日本は米国に比べて一桁落ちる」と指摘。向井さんは「夢やビジョンが必要。(カリスマ経営者らは)宇宙が好きで、起業で成功したお金を、その自分の夢や人類のための壮大な目標にかけている」と語った。

 ■競争、国から民へ

 スマートフォンにも使われるGPS(全地球測位システム)などは、今や生活に欠かせない。国家が競い合う宇宙開発から国際宇宙ステーションを経て、「民」が宇宙をどう使うかという時代の節目を迎えたというのがパネリスト共通の視点だ。

 宇宙ビジネスを進める海外の経営者は「人類の課題解決」というビジョンを共有する。宇宙開発で得た技術や情報が、防災や介護、循環型社会づくりに生かされ、関連産業の裾野が広がる。私たちの宇宙を見る目もロケット打ち上げの成否という「点」から、過程や成果の活用という「面」に変わっていくのだろう。(執行役員・大西弘美)

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