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 神戸製鋼所の検査データ改ざん問題で、経済産業省は24日、同社グループで日本工業規格(JIS)のJIS認証を受けているすべての工場について、立ち入り調査するよう認証機関へ依頼したことを明らかにした。対象は全国の20工場に広がる。異例の措置の背景には、問題が日本の製造業全体への不信につながりかねないとの危機感がある。

 「(直接指示できる)業法はないが、JIS法違反ならば(追及できる)」。経済産業省幹部は24日、JIS認定を取得しているグループの全工場への立ち入り要請という異例の判断について、権限内でできることを探った結果だと示唆した。

 認証機関の一つ、日本品質保証機構(JQA)が19、20日に神鋼子会社「コベルコマテリアル銅管」の秦野工場(神奈川県秦野市)へ立ち入り調査に入った。JISの認証は工場単位で受けるため、本来は他の工場は調査の対象外だ。しかし経産省は今回、神鋼本社の幹部が記者会見で「法令違反はないと思っていた」と発言したことから、全社的に法認識に問題があるとみて、一斉調査を求めることにした。

 今後、各工場の品質管理体制について不正を生むような問題がなかったかを調べるとみられる。問題があれば認証が取り消される。

 建設業法などのように政府が処分もできる「業法」に基づく権限を、経産省は鉄鋼業界に対して持っていない。これまで、報告を求めるまでにとどまっていたが、報告を待つ間にも次々と不正が発覚した。

 日産自動車の無資格検査問題とともに日本の看板企業で不正が続き、日本製品全体への信頼が揺るぎかねない。世耕弘成経産相は24日、「特異な事例が広がらないよう、調査結果を共有する」と述べ、危機感をにじませた。

 ■提出資料もとに認証

 製品データの改ざんが発覚したコベルコマテリアル銅管のケースでは、JQAが3年ごとに製品の規格を満たしているかや、品質の管理体制が整っているかなどを確認し、「お墨付き」を更新してきた。しかし、体制の不備や、製品の規格違反の疑いが浮上した。

 JISの審査は一般的に1~3人で2~3日間かけて行う。提出された資料をもとに、基準通り作業しているかなどを点検する。認証機関の担当者は「資料にうそがあっても見抜けない」。審査は企業の性善説に立ったもので、「お墨付き」のあり方にも不信を抱かせる事態となる。

 神鋼の大安工場(三重県いなべ市)などグループの少なくとも7工場は、品質維持活動が適正に行われていることを示す国際規格ISOの認証も受けている。ISOの認証機関も、今回の不正を受けて本格的な調査に入る構えだ。

 (伊藤舞虹、村井七緒子)

 ◆キーワード

 <日本工業規格(JIS)とISO規格> JISは工業標準化法に基づく鉱工業品の国家規格で、製品の品質や性能が一定の水準を満たしていることや、それを証明するための試験方法などを定めたもの。ISO規格はスイスに本部をおく国際標準化機構が制定した国際的な規格。

 <訂正して、おわびします>

 ▼25日付総合3面、神戸製鋼所の不正に関する記事の地図「不正があった神鋼グループの主なJIS認定工場」で「神鋼鋼板加工」(千葉県市川市)とあるのは誤りでした。JIS認定工場ではありませんでした。裏付けの取材が不十分でした。

 

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