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 何をやっている役所なのか、よくわからない。それが大方の印象ではないか。

 文部科学省の部局を「昇格」させてスポーツ庁ができて2年になる。スポーツ行政の効率化や一体化が狙いだったが、まだ成果は乏しく、存在感は薄い。

 象徴的なのは、東京五輪が開かれる20年までの任期延長が決まった際の、鈴木大地長官の記者会見だ。健康増進のためとして、スニーカー通勤を奨励するプロジェクトを打ち上げた。だが役所が仰々しく音頭をとるような施策ではないだろう。

 取り組むべきことはたくさんある。たとえば今年3月策定の第2期スポーツ基本計画にも盛り込まれた「総合型地域スポーツクラブ」の充実だ。

 そもそもは、地域のスポーツ環境を整えるため90年代に提唱された。複数の競技を用意し、年齢や技術に応じて活動できるよう、中学校区単位で全国に配置することをめざした。

 これまでに全市区町村の8割に、3500を超すクラブができた。しかし昨年度のスポーツ庁の調査で、年間予算300万円以下のところが5割超を占める▽指導者の半数は資格を持たない▽行政との連携も十分とはいえない――など、貧弱な実態が浮き彫りになった。

 「地域事情にあったクラブを」という名目の下、手本になるモデルも示さず、現場任せにしてきた結果ではないか。

 スポーツ庁も危機感を抱き、「基本計画」に沿って体制を築き直す考えだ。すべての都道府県に支援の窓口を設け、指導者の確保や組織運営のノウハウの伝授などを進めるという。

 大事なのは、クラブ側も自らの存立目的を整理することだ。クラブに期待されるものは、学校の部活動との連携、子育て支援、健康づくり、介護予防などさまざまで、網羅するのは不可能と言っていい。

 まず得意な分野をうち立て、そこを核に認知度を高め、人やカネの流れを生みだし、地域に根を張ってゆく。そんな構えで臨んでもらいたい。

 大学が地域貢献策の一つとして、体育施設の開放や指導者の派遣を行い、クラブ運営に取り組む例も増えている。地域によっては参考になるだろう。

 健康増進、自治体との関係作り、公共の建物の建設・維持などでは、他省庁との調整が欠かせない。スポーツ庁にはその作業を担い、さらに進んで司令塔の機能を果たすことが期待されるが、理想と現実の溝は深い。

 存在意義が問われる3年目であることを自覚すべきだ。

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