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 安倍内閣が設けた「人生100年時代構想会議」は、社会人が仕事に必要な知識や技術を身につける「学び直し」をテーマの一つにかかげる。

 受け皿に想定されているのは大学だ。だが適任かどうかは、教員の専攻分野や人数、地域の事情などによって異なる。視野を大学以外にも広げて、議論を進めるべきだ。

 一方、少子化による学生減で厳しい状況にある多くの大学にとって、社会人の受け入れは以前からの課題だった。投じられたボールを受けとめ、自校の針路や将来像を考える機会にしてもらいたい。

 政権が描くのは産業を担う人材の能力向上だ。IT分野などは働きながら新しい知識を取り入れていかないと、技術革新のテンポに追いつかない。社会全体をみても、終身雇用は崩れ、企業の盛衰も激しい。転職や再就職をしたい人や、正社員をめざす非正規労働者への再教育がますます必要になる。

 経済界や政権の思惑を離れても、自分の仕事や生活を充実させるために、学び直しを志向する人は少なくないはずだ。

 育児で仕事を休んでいたが、復職前に最新の専門知識を勉強したい。シニア世代になっても腕をみがき、新たな仕事に挑みたい。町づくり活動に役立つノウハウを学びたい――。

 こうした声に応えてくれる場が地域にあれば心強い。

 日本の大学(学部)入学者のうち社会人は推計2・5%で、諸外国よりかなり低い。

 理由の一つは、企業実務などに対応した教え方ができる教員が少ないことだ。だが、そうした人材を新たにスタッフに迎えるには経費がかかる。ただでさえ苦しい研究費にしわ寄せがいくのを避けるためにも、大学間で提携の方法を探るなど、知恵をしぼる必要がある。

 もう一つの理由は、個人や企業がコンサルティング会社を使った社内研修や通信教育、資格学校の利用などで、個別に対応してきたことだ。こうした既存のサービスと大学との間で、どう役割を分担するか。その検討も課題になる。

 地方都市は都会に比べ、どうしても学び直しの場が少ない。だからこそ大学が大きな役割を果たせる可能性がある。地元で働く人に耳を傾け、地域に貢献する講座を工夫してほしい。

 社会人のニーズは「土日か夜間に、短い期間で、安く、実践的な勉強がしたい」と明確だ。教室での対面講義ばかりでなく、ネットによる動画配信なども有効活用できるに違いない。

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