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 電柱をなくし、災害に強く、景観のよい街にしよう。そんなねらいで無電柱化推進法が成立して12月で1年になる。

 だが街中にある電線の埋設は時間とお金がかかり、「電柱大国」返上への道は遠い。災害時に電柱が倒壊すれば、避難や救助の妨げになる。優先順位の高い政策として勢いをつけたい。

 推進法は国や都道府県に推進計画をつくるよう促し、事業者には計画への協力を求めた。

 国土交通省は年内に推進計画をつくるという。日本には約3550万本の電柱があり、毎年7万本ずつ増えている。計画ではこの現状に歯止めをかける手だてを示し、その上で中長期の目標をかかげてほしい。

 国が管理する道路では、昨年4月から災害時の緊急輸送道路での電柱の新設が禁止された。これにならい都道府県が管理する緊急輸送道路でも新設を禁じる自治体が出てきた。各地の県・市道にさらに拡大を促せば当面の抑制策になるだろう。

 国交省は全国10ブロックごとに自治体、道路管理者、電線管理者で協議会をつくり、地中化の候補地を検討してきた。こうした場で各自治体が互いのとりくみを参考にすればどうか。

 無電柱化で先行する東京都は、9月から無電柱化推進条例を施行し、都道での電柱の新設を禁じた。都心の都道では2019年までに、整備対象の100%を地中化するという。ただ公道の9割を占める区市町村道は幅が狭く、地上機器の置き場の確保も難しい。ノウハウをもつ都の支援がかぎとなる。

 電線の地中化は最も進んでいる東京23区でも8%にすぎない。課題は1キロあたり約5・3億円かかる工事費の削減だ。

 地中化の費用は通常、国、自治体、事業者が3分の1ずつ負担する。事業者の協力を促すには技術革新が必要だ。

 国交省は電線用の管路を浅く埋めることや、小型ボックスに電線を入れる工法を低コスト方式として推奨するが、それでも3割減にとどまる。外国のように電線を直接埋める方式の実用化など、関連業界とともに開発を急いでほしい。

 大事なのは、電柱を放置すれば命にかかわるという認識だ。国交省の有識者ヒアリングでは、災害現場でたれ下がった電線の感電事故や、火災のおそれが報告された。東日本大震災では約5万6千本の電柱が被災し、倒れた電柱や電線は道路を開く作業の支障になった。

 11月10日は「無電柱化の日」。行政だけでなく住民自身の問題という認識を広めたい。

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