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 何度問題を繰りかえしても、懲りない。そんな組織と思われても当然だろう。大相撲で再び暴力事件がおきた。

 しかも横綱による傷害容疑事件である。秋場所で優勝した日馬富士が同じモンゴル出身の幕内、貴ノ岩にけがをさせた。

 日頃の鍛錬で養った力を土俵の外で暴力として用いるのは、力士の資格が問われる事態だ。大相撲をつかさどる日本相撲協会の責任は重い。

 事件は10月下旬、巡業先の鳥取市でおきた。モンゴル出身力士らの懇親会で、横綱が酒に酔い、暴力をふるったという。横綱はおととい、負傷させた事実をメディアの前で認めた。

 被害届を受けた鳥取県警は、捜査を始める。九州場所のさなかであっても、関係者は全員、聴取に全面協力すべきなのは言うまでもない。

 協会は、法曹関係者らによる危機管理委員会を立ち上げた。協会自ら真相解明を尽くすとともに、厳正な処分を下さねばならない。

 不明な点も多い。「右中頭蓋底(ずがいてい)骨折、髄液漏の疑い」で全治2週間と診断されたが、貴ノ岩は事件のあとも土俵に上がり、行事などにも参加していた。

 もちろん、けがの症状が時間を経て出ることもある。だが、貴ノ岩は事件の数日後に警察に被害届を出していたのに、事実が伏せられていたのはなぜか。協会は今月上旬に警察の問い合わせを受けて知ったというが、その後、どう対応したのか。

 社会的に許されない身内の行動に対する、協会の鈍い体質が変わっていない疑いが濃い。

 危機管理委は、そうした相撲界の土壌も追及すべきだ。

 時津風部屋で07年、当時の師匠や力士に暴行を受けた若手が死亡した事件は記憶に新しい。10年には横綱朝青龍が知人への暴行の責任をとり引退した。

 その後も、髪を結う職人への親方による暴行や、門限を破った力士を師匠がゴルフクラブで殴った例など問題が続いた。

 そのたびに協会は力士や親方への研修会などを開いて再発防止の姿勢を見せたが、その効果は乏しかった。

 大相撲は、今年の初場所後に稀勢の里が横綱になってから、本場所の連日満員が続く。人気の回復に協会も力士も慢心があったということだろう。

 相撲界には、血気盛んな若者を指導する難しさを言う人もいる。しかし、力でねじ伏せる指導が、あしき伝統として受け継がれているのではないか。

 暴力が続く素地を解明し、根絶する意識改革こそ必要だ。

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