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 建設的な議論を行い、政策をともに前に進めていこう――。安倍首相はきのうの所信表明演説で、野党に呼びかけた。

 ならば首相にも求めたい。首相こそ、この特別国会での議論に建設的に臨むべきである。

 忘れたわけではあるまい。

 この特別国会は6月に通常国会を閉じて以降、約5カ月ぶりの本格論戦の舞台である。

 この間、野党は憲法に基づき臨時国会を求めてきたが、首相は3カ月も放置したあげく、召集直後に衆院解散の挙に出た。

 森友・加計学園をめぐる問題で、国民に約束した「丁寧な説明」を今度こそ果たす重い責任が首相にはある。

 だが、首相や与党のふるまいは「建設的」とは程遠い。

 そもそもこの特別国会は実質審議も所信表明演説もせず、約1週間で閉じる方針だった。

 野党の要求で会期は12月9日までとなったが、所信表明演説は約15分と昨年の臨時国会の半分の短さだった。

 内容もあっさりしていた。

 北朝鮮情勢の緊迫と少子高齢化を「国難」と強調し、トランプ米大統領の来日など外交成果を誇る。その大半が、衆院選や一連の外交行事ですでに語ったことの繰り返しに過ぎない。

 自民党は、野党に手厚かった国会審議の質問時間の配分を変え、野党の割合を減らす要求を強めている。実現すれば、行政府に対する立法府のチェック機能が弱体化しかねない。

 先の通常国会では、森友・加計や陸上自衛隊の日報問題で野党の追及を受け、内閣支持率が下落した。その二の舞いを避けるためにも、野党の質問の機会を少しでも削りたい。そんな狙いがうかがえる。

 それが首相の「建設的な議論」のあり方なのか。むしろ首相は質問時間の見直しを直ちに撤回するよう、党総裁として自民党に指示することが筋ではないか。

 国会では来週は代表質問、再来週には予算委員会がある。

 森友・加計問題のみならず、北朝鮮情勢や少子高齢化対策など、与野党が論じ合うべきテーマは数多い。

 野党は、自民党の質問時間削減要求をはね返すべく結束する必要がある。あわせて各党で質問内容を事前に調整し、似た質問は避けるなど工夫を凝らし、議論を活性化させてほしい。

 巨大与党に「多弱野党」が対峙(たいじ)する。その最初の場となるこの国会のありようは、年明け以降の国会運営にも影響する可能性がある。国会審議を形骸化させてはならない。

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