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 JR北海道が路線全体のほぼ半分、10路線13区間について「単独で維持するのは困難」と表明してから1年がたった。

 路線の存廃や経費の分担をめぐる沿線自治体との協議は、全般的に進んでいない。

 JR北は昨年度も全路線が赤字で、その総額は500億円を超えた。「3年で資金繰りがつかなくなり、全列車が運行できなくなる恐れもある」という。

 事故や不祥事を繰り返した末、廃線の可能性を口にし始めたJR北に対し、沿線地域には強い不信感がある。だが、存続させるには資金が要る。話し合いは避けて通れない。

 対象路線は国土の2割を占める北海道の全域に広がり、一部は農産品を全国へ運ぶ役割も担う。国と北海道が主導し、協議を加速させていくべきだ。

 国の責任はとりわけ大きい。

 JR北は1987年の発足時から、国が拠出した基金の利子で鉄道の赤字を埋めるという支援を受けている。経営危機の最大の要因は、90年代半ばから続く低金利でそれが成り立たなくなり、年間500億円規模の赤字を埋められていないことだ。

 石井啓一国交相は「金利の変動は想定されたこと。経営努力で対処するのが基本だ」と言う。だが、橋やトンネルの老朽化も進み、JR北単独では手に負えないのが現実だ。

 北海道庁の有識者会議は今年2月、「国の抜本的な支援なしではJR北の経営再生はできない」と指摘した。基金の利子減少による経営難はJR四国も同じだ。JR発足から30年の大きな課題として、国は支援のあり方を抜本的に見直すべきだ。

 沿線の自治体も、地域の現実を直視する必要がある。

 道内の高速道路はこの30年で飛躍的に拡充され、無料の区間も多い。自治体や住民は歓迎したが、鉄道離れは進んだ。

 地域住民がもっとも望む「足」は鉄道か。車を運転できない学生や高齢者にとっては、目的地の学校や商業施設、病院に行きやすいバスのほうが喜ばれるかもしれない。

 鉄道の存続を訴えるだけでなく、理想の公共交通を住民と考える好機とする。自治体にはそんな前向きな姿勢を求めたい。北海道は今までの交通政策の失敗を認識し、道全体の交通網再編を率先して進めるべきだ。

 「北の鉄路」の危機は、人口減少が進むどの地方にもひとごとではない。大切なのは鉄道会社任せにしないことだ。地元の交通を守るためにどんな手を打つべきか。手遅れになる前に、地域全体で知恵を絞りたい。

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