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 人権感覚が疑われる残念な発言だ。自民党の竹下亘総務会長である。国賓を招く宮中晩餐(ばんさん)会について、「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は反対だ」と語った。

 婚姻や伴侶を選ぶ性的指向によって賓客への接遇を左右させることは不適切である。性的少数者への差別にもつながる無神経な言動というべきだ。

 これを機に、外務省と宮内庁による賓客への接遇の一端が明らかになった。デンマークの前駐日大使の同性パートナーは、宮中行事などへの参加を認められていなかったという。外交儀礼上も礼を失する対応だ。

 河野外相はきのうの国会で、今後の改善を表明した。天皇誕生日のレセプションなど外務省主催の行事では、どのパートナーも等しく接遇するという。

 ただ、晩餐会など宮中行事については対応を明示していない。すべての行事で対等な処遇を確約すべきである。

 人生でどんなパートナーを選び、どんな家族を築くかは一人ひとりが決めることだ。多様な生き方を認めあうのは人権尊重の原則の一つであり、日本も寛容な社会づくりに努めたい。

 同性婚や同性パートナーの法的な権利を認める国は増え続けている。主要7カ国(G7)で制度がないのは日本だけだ。

 ルクセンブルクでは一昨年、ベッテル首相が同性婚をした。欧州での国際会議で首相の男性パートナーは、配偶者向けの文化行事などに参加した。

 保守的と思われがちなローマ・カトリック教会でも法王が3月、ベッテル氏とパートナーをバチカンに招いた。法王自ら、同性愛の容認をアピールしたと受けとめられている。

 自民党は、先の衆院選公約では「性的指向・性自認に関する広く正しい理解」をめざす議員立法を掲げた。だが、竹下氏の発言を聞く限り、「正しい理解」には疑問符がつく。

 そもそも自民党では、個人の権利よりも、一定の家族観を重んじる考え方が強い。

 12年の自民党改憲草案は「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される」としている。こうした自民党的な発想では、同性カップルの権利擁護は相いれないのだろう。

 一方、国内では自治体の取り組みが先行している。東京都渋谷区と世田谷区は一昨年、同性パートナーの公認制度を導入、多くの申請が続いている。

 政府も、医療、住宅、相続など多くの場面で不利益を被っている同性カップルの現状に目を向け、改善に取り組むべきだ。

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