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 ことしは国会で党首討論が一度もおこなわれなかった。00年に正式に導入されて以来、初めてのことだ。

 この機会に、なぜ、この制度を始めたのかを思い起こそう。

 衆院に小選挙区中心の選挙制度が採用され、従来以上に党首力が問われる時代になった。

 党首同士が丁々発止の議論を交わす機会を増やし、「政治家主導の国会」にする――。そんな狙いが込められていた。

 幅広い視野で、国の行く末や基本政策のあり方を論じあう場だ。法案審議とは違い、多数決と異なる価値観で運営される議論の空間でもある。

 このまま粗略に扱い続けていいとは思えない。

 「年間ゼロ」は残念だ。

 これを機に、党首討論のあり方を抜本的に見直すべきだと考える。

 05年までは年に5~8回開かれていたが、13年以降は年1、2回に減った。低調さの主な要因は「本会議や委員会に首相が出る週は開かない」という与野党の申し合わせにある。

 与党は、首相の失点を防ぐために党首討論を拒む理由に持ち出す。一方、野党は45分間の党首討論より長く首相に質問できる委員会を要求しがちだ。

 ことしは森友・加計学園の問題で安倍首相を追及したい野党が、党首討論ではなく委員会審議を求める場面が目立った。

 党首討論が実現しても、内容が物足りないこともある。

 とくに安倍首相は質問をはぐらかしたり、持論を延々と述べたりすることが多い。議論がかみあわない大きな理由である。

 この現状をただす責任は、与野党双方にある。

 まず、首相が本会議や委員会に出る週には開かないという申し合わせを撤廃しよう。

 自民、民主(当時)など4党は3年前、党首討論の月1回開催を含む国会改革案で合意したが、守られていない。最低でもこれは実行すべきだ。

 時間も延ばす必要がある。野党が多党化した今、1党あたりの割り当ては長くても10分ほどしかない計算だ。これでは中身のある議論など望めない。

 開催回数を増やすという前提で、1回ごとに登壇する野党党首の人数を絞る方策もある。各党が譲りあい、それなりの時間を確保しあうのだ。

 議論をより深めるためには、事前にテーマを決めておくのも一案だろう。

 党首同士が政治家としての力量をかけて真剣勝負を繰り広げる。「言論の府」の名にふさわしい党首討論が見たい。

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