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 アメリカンフットボールの社会人Xリーグの年間王者を決める第31回日本社会人選手権・ジャパンエックスボウル(JXB)が18日午後7時、東京ドームでキックオフを迎える。頂上決戦に臨むのは5年連続9回目の出場で2年連続3度目の優勝を狙う富士通(東地区、リーグ戦2位)と、3年ぶり2回目の進出で初優勝にかけるIBM(中地区、リーグ戦5位)だ。両チームは2014年のJXBでも対戦し、富士通が44―10と快勝している。双方のキーマンを紹介する。

 ■強く激しく、最後のとりで 富士通・DB藤田篤(32)

 1年前のJXBでアキレス腱(けん)を切った。今年の夏までは、ずっとリハビリ。大けがを乗り越えた守護神がIBMに立ちふさがる。

 DB(ディフェンスバック)の中でも、最後方のFS(フリーセーフティー)。「自分が抜かれたら負け」というプレッシャーの中、ロングパスを防ぎ、強烈なタックルを見舞う。「コンディションは9割以上戻ってます」。JXBトーナメント2試合で1タッチダウンしか奪われていない守備陣を引っ張り、準決勝では終盤に貴重なインターセプトを決めた。

 原点はアメフトを始めた神奈川県立舞岡高時代だ。部員が少なく、3年のときには11人。全員が攻守兼任で、藤田はQBとDBで奮闘した。「練習は野球部がグラウンドの半分を使って、その半分をサッカー部と分けて使ってました。ほんとに狭かった」。そんな恵まれない環境でも、アメフトの楽しさに魅了された。日体大を経て日本代表に定着するまでに成長したいまでも、フットボールを楽しむ心は忘れていない。

 自宅では鍵や財布の置き場所を決めているという几帳面(きちょうめん)な性格は、キッカーが蹴るボールを置く「ホルダー」役にはうってつけ。日本を代表するキッカーでチームメートの西村豪哲(ひでてつ)とは大学時代からのコンビで、2人で数々の修羅場をくぐり抜けてきた。

 大事な試合前にはチームメートと映画観賞。「今回も行きますよ」。映画のようにハラハラドキドキの展開になっても、守護神が2連覇をたぐり寄せる。

 ■予測不能なラン、切り込む IBM・RB高木稜(27)

 山田晋三ヘッドコーチは彼を「宇宙」と表現した。「予測不能。あの走りは宇宙と言うしかない」。10月の試合で負傷したが、準決勝から復帰。「タックルにきた相手に『消えた』と思わせるカットで圧倒します」。名古屋で働く商社マンが、初優勝を宣言した。

 身長165センチの小さなRBは北海道で生まれ育った。旭川東高まではサッカー。雪の上での練習で、足腰が強くなった。京大でアメフトを始めたが、当時監督だった水野弥一さんは「最初はフラフラのRBやった」。2年になるとき、守備への転向が決まりかけていた。だが、資質を見抜いていた水野さんが反対して、RBを続けられた。

 3年の春、オービックの名RB古谷(ふるたに)拓也が京大に走りを教えに来てくれた。古谷は土のグラウンドで、しかもスニーカーで、異次元のステップを披露。高木は来る日も来る日も、古谷のジグザグ走りをまねた。すると徐々に試合でも通用するようになった。「いまの自分があるのは水野監督と古谷さんのおかげ」。4年時には関西学生リーグのラン部門1位となり、社会人2年目の2015年には世界選手権に出て、日本代表のRBで最も活躍した。

 京大3年のリーグ最終戦を忘れない。1週間前に水野監督が退任を表明。さらに4年生QBのお母さんが死去。高木はけがをおして強行出場した。「どうにでもなれと思って、初めて迷いなく走れた試合です」

 IBMに入ったのはXリーグで優勝していないチームだったから。時は来た。

 ■選手の魅力、届ける工夫したい 富士通マネジャー・元箱根駅伝「山の神」柏原竜二さん語る

 富士通フロンティアーズに来たのは、4月の中旬です。常盤真也ゼネラルマネジャーに「明日からウチで働いてもらうから」って、軽いノリで言われまして。

 仕事は事務作業から広報活動まで幅広いです。土、日は練習。なかなか休めないなあと思いながらも、いまやグラウンドへ行けない日は「選手に会ってねぇなあ」って思っちゃう。自分自身、「陸上の柏原」にはとらわれなかったです。

 何でこんなに選手が多いんだろうと驚きました。ぶつかり合うときの音も怖かった。中途半端ではいけないと思いまして、1週間くらいずっとアメフトの動画を見続けました。選手の人柄を知った上で、準決勝でIBMに逆転勝ちした去年のウチの映像を見ると、最初に見た時と感動が違うんですよね。ものすっごい面白いと感じました。

 いまではNFLの動画もむさぼるように見ます。アメフトはいちいちプレーが止まるのがいいです。次の戦略を俯瞰(ふかん)的に見られるというか。1人がミスするとチーム全体が大変な目にあい、逆に、いいプレーで流れが変わる。もしも自分がプレーするなら――。ディフェンスをやりたいと思いますよね。DLは目の前のOLをサッとかわしてタックルにいったりもする。地味だけど、職人っていう感じがすごいするな、って。

 人間的にも魅力のある選手が多いので、お客さんにそういう部分も知ってもらえる工夫をしていけたら。ルールが難しく感じるかもしれないけど、大丈夫。野球もサッカーも、生まれつきルールを知っている人なんていないじゃないですか。なので、ややこしがらずにフロンティアーズの晴れ舞台を見に来てくださいって感じです。(談)

     *

 かしわばら・りゅうじ 1989年、福島県いわき市生まれ。いわき総合高から東洋大に進み、箱根駅伝の山登りの5区で4年連続の区間賞に輝き、「山の神」と呼ばれて注目された。2012年に富士通へ入社。けがもあり、今年4月に現役引退を発表した。

 ■アスリートの気持ちで ハーフタイムショー出演、NOKKOさん

 ハーフタイムショーのスペシャルゲストはNOKKO(ノッコ)さん。1984年にレベッカのボーカルでデビュー。数々のヒットを飛ばし、91年に解散。2015年に再結成し、今年は28年ぶりの全国ツアーを挙行。オールXチアリーダーズの160人と共演して「フレンズ」「ラズベリードリーム」の2曲を披露するNOKKOさんは、こう話している。

 「アメリカにいたころ、テレビの中のアメフトを眺めてました。芝のグリーンが濃くて、軽妙な実況が入って。全体的なムードは心に刻んであります。80年代からパフォーマンスを上げるため、トレーニングに取り組んできました。だから私もアスリートの気持ちで参加します。キラキラしてるチアのみなさんと一緒にできるなんて。盛り上げます!」

 ■両チーム戦いのあと

 【富士通】

 <リーグ戦>

○30-0  リクシル

○45-23 アサヒビール

○59-0  東京ガス

●9-24  パナソニック

○44-13 アサヒ飲料

○13-10 オービック

 <JXBトーナメント>

○34-7  エレコム神戸

○7-0   オービック

    *

 【IBM】

 <リーグ戦>

○38-34 オービック

○52-0  明治安田

●42-49 ノジマ相模原

○13-10 エレコム神戸

●26-27  リクシル

○10-0  アサヒ飲料

 <JXBトーナメント>

○51-31 リクシル

○31-24 パナソニック

 ■両チームの1試合平均データ

          富士通   IBM

得点       30.1  32.9

失点        9.6  21.9

合計獲得ヤード 367.1 407.6

(パス)    197.1 246.6

(ラン)    170.0 161.0

合計喪失ヤード 203.1 303.9

(パス)    129.6 211.0

(ラン)     73.5  92.9

 (成績は小数点第2位を四捨五入)

 ■日本社会人選手権の戦績

   年度 勝利チーム         スコア  敗戦チーム

1987年 レナウン         31-28 シルバースター

  88年 レナウン         28-20 松下電工

  89年 アサヒビール       14-9  日本電気

  90年 松下電工         14-6  オンワード

  91年 オンワード        49-10 サンスター

  92年 アサヒビール       21-7  松下電工

  93年 アサヒビール       13-0  サンスター

  94年 松下電工         48-28 オンワード

  95年 松下電工         54-20 リクルート

  96年 リクルート        30-10 オンワード

  97年 鹿島           48-12 松下電工

  98年 リクルート        45-24 アサヒビール

  99年 アサヒビール       18-16 鹿島

2000年 アサヒ飲料        20-18 松下電工

  01年 アサヒ飲料        14-7  松下電工

  02年 シーガルズ        14-7  富士通

  03年 オンワードスカイラークス 13-10 アサヒビール

  04年 松下電工         15-6  アサヒビール

  05年 オービック        25-16 松下電工

  06年 オンワードスカイラークス 24-21 鹿島

  07年 松下電工         33-13 富士通

  08年 パナソニック電工     28-14 鹿島

  09年 鹿島           21-14 富士通

  10年 オービック        20-16 パナソニック電工

  11年 オービック        24-17 富士通

  12年 オービック        27-24 鹿島

  13年 オービック        24-16 富士通

  14年 富士通          44-10 IBM

  15年 パナソニック       24-21 富士通

  16年 富士通          16-3 オービック

 (シルバースターは現アサヒビール、サンスターは現エレコム神戸、リクルートとシーガルズは現オービック、松下電工とパナソニック電工は現パナソニック、鹿島は現リクシル)

 ■観戦のご案内

 ◇チケット 社会人Xリーグのホームページ(http://www.xleague.com/jxb2017/ticket.html別ウインドウで開きます)をごらん下さい

 ◇テレビ放映の予定 「NHK BS1」で18日午後7時から生中継

 <主催> 日本社会人アメリカンフットボール協会、朝日新聞社、日刊スポーツ新聞社

 <特別協賛> 大正製薬

 <後援> NFL

 <特別協力> 東京ドーム

 ◆この特集は大西史恭、篠原大輔、富山正浩が担当しました。

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