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 ロシアの政治権力を一手ににぎって17年。さらに来年3月の選挙で4選を決め、通算24年の統治を続けるのは確実だ。

 プーチン大統領が、大統領選への立候補を正式に表明した。世界の主要国のなかで群を抜く長期政権である。

 だが、先週に開いた記者会見は、残念ながら、強権的な統治姿勢への内外の懸念を払拭(ふっしょく)する機会とはならなかった。

 インフラ、保健、教育など当面の優先分野を挙げただけで、当選後の明確なビジョンを示さなかった。これまでの路線の継続を強調する考えなのだろう。

 確かにソ連崩壊後、極度の混乱状態にあったロシアの社会、経済、政治を安定させた功績は評価できる。一時は65歳を下回った平均寿命が、73歳近くまで伸びたのは象徴的だ。

 しかし長期政権の負の側面は明らかだ。政権を批判する勢力は議会から姿を消し、有力なテレビ局は政権の影響下にある。来年の大統領選を前に、ネット規制も強まっている。野党指導者やジャーナリストの不審な死の真相究明も進んでいない。

 さらに深刻なのは外交だ。なかでも2014年にウクライナのクリミア半島を併合したことは、国際秩序を深く傷つけた。ウクライナが核兵器を放棄するのと引き換えにロシアなどが領土の一体性を保証するという約束も、ほごにされた。

 皮肉なのは、クリミア併合がロシアでのプーチン氏の支持率を飛躍的に高めたことだ。排他的な愛国心をあおり、公然と国際ルールを無視して政権の求心力を高める手法は、世界にとって大きな懸念である。

 プーチン氏は、欧米を中心とする外敵にロシアが包囲されているという世界観を隠そうとしない。昨年の米大統領選でトランプ氏に肩入れし、今年の仏大統領選では右翼のルペン氏を後押しした。「外敵」とみなす国々を揺さぶり、混乱させることが自国の安全に資すると考えているかのようだ。

 だが、プーチン氏自身が認めるように、国際テロ、核軍縮、北朝鮮、シリアなどの問題に取り組むためには諸外国、とくに米国との協力が不可欠だ。対米関係の悪化の責任はロシアにはないとだけ言いつのるのは、正しい態度ではない。

 12年春、首相から大統領に4年ぶりに復帰したプーチン氏は、就任式で「信頼され、開かれ、誠実で予見可能なパートナーとして、世界で尊敬されるロシア」を誓った。絵に描いた餅に堕したこの言葉を、あらためてかみしめて欲しい。

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