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 あわや大事故という深刻なトラブルだ。安全最優先の姿勢が欠けていたのではないか。

 博多発東京行き「のぞみ34号」が11日、車体と車軸を固定する台車に亀裂が入っていることが判明したため、名古屋駅で運行を取りやめた。

 きのう会見したJR西日本によると、亀裂は最長16センチあった。運行を続けていれば破断して脱線したおそれもあった。

 乗客は約1千人いた。半世紀前に新幹線が開業して以来、初の事態だ。国の運輸安全委員会は新幹線で初めて「重大インシデント」と認定し、調査にのり出した。JRは亀裂の原因究明はもちろん、毎日の点検や異常時の即応体制について徹底した見直しが必要だ。

 問題は、異常に気付いてから列車を止めるまでに、3時間あまりもかかったことだ。

 小倉駅の発車時に、最初に乗務員が「焦げたような臭い」に気づき、車掌を通じて東京の総合指令所に連絡した。しかし列車は運行、福山―岡山間では、乗客が「車内にもやがかかっている」と訴えた。岡山で3人の車両保守担当社員が乗り、車内で異常な音を確認した。

 それでも走行し続け、新大阪でJR西からJR東海に運行を引き継ぐ際には「異常なし」と伝えていた。京都を出た後に再び異臭がし、名古屋駅で床下を点検したところ油漏れなどが見つかり、運行を取りやめた。

 走行中に異常が見つかった場合は、東京の総合指令所が車掌らとやりとりし、停止させるかどうかなどを指示するという。異変があれば、停車駅などで発生源の把握に努めるべきだ。

 JR西は「今後は異常がないことを確認できない場合、ちゅうちょなく列車を止めることを徹底する」と説明したが、なぜ速やかに止められなかったのか、現場と指令所との間でどんなやりとりがあったのか、細部にわたる検証が必要だ。

 新幹線は東京―新大阪間で1日に350本以上運行し、時間帯によっては数分おきに発着する。定時の運行を優先させようとした面はなかったのか。社をまたいで安全情報を引き継ぐのに、十分な時間は確保されているのかも気がかりだ。運行中止に至る経緯をふくめ、問題点の洗い出しを求めたい。

 検証に当たっては専門家ら第三者の目を入れることも考えてよい。

 JR西日本は12年前の宝塚線脱線事故後、「安全性向上計画」をつくり、安全が何よりも優先すべきだと誓った。その精神を忘れてはならない。

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