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 韓国の康京和(カンギョンファ)外相を初めて日本に迎えての日韓外相会談が、都内で開かれた。

 両外相は3時間におよび意見を交わしたが、どうもしっくりとはいかなかったようだ。

 両国間には歴史認識問題などをめぐる溝がある。一方で北朝鮮問題を中心に、ともに取り組むべき課題は切迫している。

 まず外相同士が話し合ったこと自体は前向きに考えたい。

 さらに健全な隣国関係を築くために、両国首脳はシャトル外交を再開すべきである。すでに合意されている定期的な相互訪問の早期実現へ動くときだ。

 懸案の一つは、2年前の慰安婦合意をどう位置づけるかという問題だ。韓国では合意にいたる経緯などを有識者らが調べており、来週、報告書が出る。

 日本側は合意の着実な履行を強く求めるが、韓国側は報告書の内容を踏まえた上で、政府見解を別途発表するという。

 文在寅(ムンジェイン)大統領は選挙公約に合意の再交渉を掲げて当選した。合意への韓国世論は厳しい。政権内では、外交を重視する合意維持派と、世論を気にかける否定派がせめぎあいを続ける。

 しかし、前政権によるものであっても、二国間の合意を守らぬというのは道理が通らない。報告書の中身がどうであれ、文政権は合意を尊重した上で歴史認識問題にあたるべきだ。

 日本側の努力も欠かせない。一部の政治家らによる、合意によって問題がすべて解決したかのような主張は韓国の否定派を勢いづかせるだけだ。慰安婦問題という痛ましい事実から目を背けてはならない。

 康外相は今回、安倍首相を訪ね、来年2月の平昌(ピョンチャン)五輪に合わせた訪韓を呼びかけたが、日本側は態度を保留している。慰安婦合意に対する韓国政府の態度を見定めているためだ。

 来年初めの日本開催を目指した日中韓首脳会談は来春以降にずれこむ見通しだ。韓国側は、五輪時の首相訪韓を実現させるため、文氏の単独訪日も模索するが、こちらもやはり慰安婦問題が立ちはだかる。

 ここはシャトル外交の原点に戻るべきだ。そもそもの趣旨は懸案の有無にかかわらず、トップ同士が頻繁に顔を合わせ、理解を深めることだった。

 訪問は、首相の訪韓が2015年、大統領の訪日は2011年を最後に途絶えている。とても正常な状態とは言えない。

 対立点があるからこそ、じかに議論し、大局的な折衷点を探る。東アジアの国際環境の改善をめざす上でも、そんな賢明な首脳外交が求められている。

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