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 厳しい財政事情のなか、安倍政権の防衛費優遇が際立つ。

 来年度の当初予算案で、防衛費が5兆1911億円に膨らんだ。今年度当初より1・3%増え、4年連続で過去最大だ。

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」や長距離巡航ミサイルの導入を決めた。ほかにも戦闘機F35Aや無人偵察機グローバルホーク、新型輸送機オスプレイなど米国製の高額な兵器を購入する。

 トランプ米大統領は11月の来日時、安倍首相との共同記者会見で「非常に重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ」とあからさまに迫った。

 だが、日本がどんな兵器をもつかを決めるのは日本自身だ。

 米国製兵器の多くは、日米両政府が直接取引する有償軍事援助(FMS)で導入される。

 米側が見積もった金額を前払いした後に納入が始まり、納入が完了した後、精算して価格を確定させる。このため、後になって価格が上がることもある。

 日本政府は米国製の最新鋭兵器を買える利点を強調するが、売り手の米国が有利なことは否めない。2012年度に1380億円だったFMS調達は安倍政権の下で急増し、来年度は4102億円にのぼる。

 FMSで2基を導入するイージス・アショアでは、すでに見通しの甘さがあらわになった。

 小野寺防衛相は先月末、1基あたり800億円と国会で答弁したが、防衛省は今月中旬、1基1千億円弱と修正した。わずか半月で1基200億円も跳ね上がった計算になる。

 より高性能のレーダーを米国から購入すれば、総額はさらに膨らむ。それでも北朝鮮がミサイルを同時に多数発射したり、複数の弾頭を搭載したりすれば迎撃は困難だ。

 限りある予算のなかで防衛費が膨張すれば、それだけ財政全体が圧迫される。

 最新鋭の兵器は維持費や修理費も高額になり、本来必要な訓練などにしわ寄せが及ぶ。高額の兵器は複数年で分割払いする「後年度負担」という仕組みで購入するため、将来の予算の制約要因にもなる。

 政府は来年末、向こう10年間の防衛力のあり方を示す防衛計画の大綱や、5年間の自衛隊の装備を定める中期防衛力整備計画を改定する方針だ。

 ミサイル防衛をどこまで優先するか。巨額の費用に見合う効果があるのか。次々と兵器を購入する背景に、米国への過度な配慮があるのではないか。

 論点は多い。年明けの通常国会で徹底的な議論が不可欠だ。

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