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 原発への依存度を下げていくうえで、重要な一歩である。

 関西電力が大飯原発1、2号機(福井県)の廃炉を決めた。東京電力福島第一原発の事故後、廃炉が決まった国内の原発は計14基になったが、今回の2基は出力が最も大きい。

 電力各社の背中を押すのは、福島の事故後、原発の運転期間について定められた「原則40年」ルールだ。関電も、2年後に期限を迎える大飯1、2号機について例外扱いによる運転延長をめざしたが、最終的に断念した。老朽原発の事故リスクを減らすことを狙った40年ルールが、今回は機能したと言える。

 ただ、廃炉を決めた関電の説明は不可解だ。

 岩根茂樹社長は今年1月、原子力規制委員会に運転延長を申請する方針を示し、「経済合理性は十分ある」と話した。

 ところが今回の発表では、2基の構造が特殊なため、必要な安全対策工事を行うと再稼働後の保守点検作業が難しくなることを強調。経済性については「算定していない」と述べた。

 なぜ、言いぶりが変わったのか。

 大飯1、2号機の再稼働に必要な安全対策費は、1基あたり2千億円ほどに膨らみそうな状況だった。延長運転は最長で20年間に限られ、両方とも動かせたとしても、経済性が大幅に下がるのは必至だった。

 原発のコスト面での優位性が揺らいでいることに焦点が当たると、原発再稼働へのさまたげになりかねない。そう考える経済産業省や、他の電力会社への配慮が透けてみえる。

 福島の事故以来、原発を取り巻く状況が厳しさを増しているのは、大手各社に共通する。

 安全規制が強化され、再稼働に巨額の追加費用がかかるようになった。節電の定着や電力自由化による競争激化で、販売も減少傾向にある。再稼働に反対する国民の声は強く、運転の是非をめぐる裁判が各地で続く。

 大手各社は、原発の採算性の低下や事業に伴うリスクを直視し、原発に頼り続ける経営姿勢を改めねばならない。

 40年の運転期限が迫る原発は、ほかにもある。追加の安全対策から廃炉、放射性廃棄物の処分まで見通したコストの総額や、安全性に関する地元の不安を解消できるかを冷静に分析し、廃炉にすべき原発を選ぶ。その作業を繰り返し、着実に原発を減らしていくべきだ。

 政府も、原発政策を組み立て直す必要がある。延命策から本格的な廃炉時代への対応へ、軸足を移していかねばならない。

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