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 法人税を中心に、減税の規模は今後10年間で1・5兆ドル(約170兆円)に達する。

 米国の税制改革法が成立した。レーガン政権以来、約30年ぶりの抜本改革という。トランプ大統領が昨年の大統領選で公約した重要法案が、初めて実現した。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏は「企業が米国に戻り、雇用が生まれる」と強調する。しかし、減税の恩恵は企業と富裕層に集中するとみられ、「格差が広がり、国民の分断が深まる」との批判は根強い。

 減税による経済成長で税収増を見込んでも、財政赤字は10年で1兆ドル(約113兆円)増えるとも試算されている。レーガン時代の米国は財政と貿易の「双子の赤字」に苦しみ、国際経済の不安要因となった。世界最大の経済大国による大型減税がどんな影響をもたらすのか、注視する必要がある。

 心配なのは、法人税の国際的な引き下げ競争に拍車がかかりかねないことだ。

 米国は主要国で最も高いとされる税率を35%から一気に21%に下げる。国と地方を合わせた実効税率も40%程度から大きく下がり、すでに29%台となっている日本より低くなる。

 日米の先をいくのは欧州だ。主な国が段階的に減税しており、イギリスが19%、ドイツは29%。いまは33%のフランスも今後、25%まで下げる方針だ。

 企業が国境を軽々と越える時代である。実際、米国ではここ数年、海外企業の買収を通じて税金の安い国に本社を移そうとする動きが目立っている。

 だからといって、各国が企業を引き留めようと法人減税を競えば、しわ寄せが個人にいき、不満が高まりかねない。

 税は各国の主権にかかわる問題だが、法人税について国際的な協調を探る時期に来ているのではないか。まずは、「パラダイス文書」が改めて浮き彫りにした企業の税逃れを封じ込めることが不可欠だ。

 既に、経済協力開発機構(OECD)が中心となってまとめた15分野の行動計画がある。来年には日本を含む多くの国と地域の税務当局間で銀行口座情報の自動交換が始まり、多国籍企業の資産を把握しやすくなる。

 ところが、米国はその自動交換の枠組みに入っていない。

 国境をまたぐ税逃れが目立つのは、アップルやアマゾン、グーグル、スターバックスなど米国のグローバル企業だ。米国こそが税逃れ対策の国際協調を主導すべきであることを、トランプ政権は自覚してほしい。

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