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 来年4月に改定する診療報酬と介護報酬について、予算の大枠が決まった。それを個々の治療や介護サービスに割り振り、それぞれの報酬を決める作業が年明けから本格化する。

 診療報酬は2年ごと、介護報酬は3年ごとに見直しており、今回は6年に1度の同時改定だ。人手不足が深刻な現場の待遇を改善し、超高齢社会に対応して医療と介護の連携を進めることを目指してほしい。

 医療では、手術や診察など医師の技術料にあたる「本体」部分を0・55%引き上げる一方、薬価などは1・74%下げて、全体では前回に続きマイナス改定となった。介護は0・54%引き上げ、6年ぶりのプラスだ。

 医療・介護の報酬は、利用者の負担と保険料、税金でまかなわれる。報酬を上げると、利用者はもちろん広く国民の負担が増え、社会保障費は膨らむ。財務省は財政再建の観点から両報酬の引き下げを求めた。

 一方、医療機関などの経営状況の調査では、診療所は安定していたが、一般病院では赤字が拡大していることがわかった。介護事業者も悪化傾向だった。

 地域の医師や看護師、介護人材の確保は喫緊の課題だ。かつて社会保障費抑制のために報酬を下げ続け、「医療崩壊」が問題になったこともある。

 全体の伸びは抑えつつ、人件費に直結する部分を引き上げ方向とした今回の報酬改定は、国民と医療・介護現場の双方を見た判断と言えるだろう。医療機関や介護事業者はこのことを自覚し、現場で働く人たちの待遇改善に努めてほしい。

 どのような医療・介護の姿を目標にするのか。報酬改定には政府の考えが反映される。

 団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年には、医療・介護費用はさらに膨らむ。報酬の抑制だけで乗り切ることは困難だ。無駄を省き、効率的な体制を整えるために、きめ細かな報酬の配分がカギになる。

 医療では、重症患者向けで看護体制が手厚い病床が増えすぎた現状を改め、リハビリなど回復期の病床を増やすことが課題だ。病院での治療を終えた人がスムーズに介護施設や自宅へ移れるようにする取り組みも加速させる必要がある。

 超高齢社会のニーズは多様だ。認知症や複数の病気を抱える患者への対応、病気と向き合いながら地域で暮らす人を「支える医療」、自宅や介護施設でのみとりの充実も求められる。

 医療と介護が切れ目なく、必要な人に行き渡る。そんな社会を作っていきたい。

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