[PR]

 安倍首相が政権に復帰して、きょうで5年になる。来秋の自民党総裁選で3選すれば、通算の首相在任日数が歴代最長になる可能性がある。

 長期政権を支えるのは、経済を前面に掲げて国政選挙に5連勝して得た「数の力」だ。

 もう一つ、安倍政権に特徴的なのは、次から次へと政策の看板を掛け替えていく「スローガン政治」の手法だ。

 耳目をひく政策を打ち出し、取り組む姿勢を強調して、指導力と実行力を演出してきた。

 最初はアベノミクスの「3本の矢」だ。次に「女性活躍」をうたい、人口減少が話題になると「地方創生」を唱えた。

 さらに「1億総活躍社会」を訴えて「新3本の矢」を繰り出し、「働き方改革」や「人づくり革命」へと続く。

 「待機児童ゼロ」「非正規(労働)という言葉をなくす」「介護離職ゼロをめざす」といった華々しい言葉も躍る。

 確かに株価は上がり、就業者数は増え、国の税収も伸びた。だが、政権が打ち上げたスローガンは、その名ほどの成果をあげているとは言いがたい。

 政府は「デフレ脱却」をいまだに宣言できていない。日銀は「物価上昇率2%」の達成を6度も先送りし続けている。

 今年度中が目標だった「待機児童ゼロ」は3年先送り。基礎的財政収支の20年度の黒字化もなし崩し的に延期された。

 女性の就業者は増えたが、世界経済フォーラムが先月発表した男女格差ランキングで、日本は144カ国中の114位。G7で最下位だ。

 一つひとつの政策に着実に手を打ち、結果を虚心に検証しつつ、工夫を重ねていく。本来あるべきそうした手順を十分に踏むことなく、次の看板に乗り換える。それが安倍政権の「経済優先」の実像ともいえる。

 国民はそれでも政権に圧倒的な多数を与えてきた。野党の弱さや選挙制度の特性もあるだろう。だが、政権にとっては、国民の思いや記憶は長続きしないものだと映っているとしても不思議ではない。

 安倍政権は、選挙で正面から問わなかった特定秘密保護法や安全保障関連法、「共謀罪」法など、国の骨格を変える法律を押し通してきた。

 それで下落した内閣支持率を取り戻すために、スローガンを掛け替えてきた側面もある。

 そうやって政権を維持してきた首相が次にめざすのは改憲である。5年の節目に、安倍政権のあり方を改めて見つめ直す必要がある。

こんなニュースも