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 命を奪うより、手や足を吹き飛ばす。それが対人地雷の戦場での目的とされる。負傷兵の救出や搬送に人手をかけさせ、戦う力をそぐのだという。

 値段が安く、しばしば大量に埋められ、平和が戻っても広く残る。爆発力は何十年も続き、市民を襲い、復興を妨げる。

 「悪魔の兵器」とも呼ばれるこの武器を、地球上からなくそうという「対人地雷禁止条約」ができて20年になる。

 大きな役割を果たしたのがNGO「地雷禁止国際キャンペーン」だった。市民の力で国際社会を動かし、その年のノーベル平和賞に選ばれた。

 今年、核兵器禁止条約の実現に貢献して平和賞を受けた「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN〈アイキャン〉)」のモデルでもある。

 条約が発効した99年に1億6千万個とみられた対人地雷の保有数は今、5千万未満との推定がある。90年代半ばに130以上あった地雷を持つ国は約50に減った。その功績は大きい。

 だが、重い課題は今も残る。米中ロなど、地雷を大量に持つ国が加盟していない。

 2025年までに「地雷のない世界」を実現させるとの目標を3年前に掲げたが、現状のままでは達成は難しい。

 日本をはじめ加盟国は、未加盟国への説得を強め、もっと国際的な機運を盛り上げたい。

 地雷問題の状況は近年再び、懸念されている。

 一時は3千人台に減った年間被害者数が、この2年で急増した。昨年の8605人は、99年の9228人に次ぐ多さだ。ウクライナや中東での紛争が要因とみられる。

 同時に、非国家の武装集団による使用も増えている。手製の簡易型地雷も多用しており、条約の効果が及びにくい。

 関係国が紛争の終結を急ぎ、停戦合意に地雷禁止を盛り込むなどの対策をとるべきだろう。

 日本は米国と一線を画し、条約に加わった。自衛隊の対人地雷約100万個も廃棄した。これまで51カ国・地域で地雷対策に計720億円を出し、昨年の支援額は世界3位。初心を忘れず国際社会を主導してほしい。

 未加盟34カ国のうち14カ国をアジア太平洋が占める。日本は様々な機会を利用して、加盟を働きかけ続けるべきである。

 心配なのは米国の出方だ。前オバマ政権は、朝鮮半島以外での対人地雷の使用などをしない方針を示した。だがトランプ政権の態度は見えていない。「米国第一」を掲げる政権が、この問題でも国際協調に背を向けぬよう注視せざるをえない。

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