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 北海道沖の千島海溝沿いで、東日本大震災に匹敵する規模の地震が「切迫している可能性が高い」との見解を、政府の地震調査研究推進本部がまとめた。

 地震学者らが検討し直した結果、マグニチュード(M)8・8以上の超巨大地震が、今後30年以内に7~40%の確率で発生する、というのだ。

 「切迫」の表現が適切かどうかが一部で議論になっているが、大切なのは、「相当に大きな数字だ」という認識を社会全体で共有することだ。

 同本部の「確率の数値を受け止める上での参考情報」によれば、7%であっても、同じ30年間で「火災にあう」「空き巣狙いにあう」確率よりも高い。

 大地震はまれな現象のため確率の算出方法が違い、新たな知見によって数値が変わるなどの限界もある。だがひとつの「目安」として生かしたい。

 北海道から東北にかけてこの地域近くに住む人や企業は、家具の固定や建物の耐震化、津波への備えを急ぐ必要がある。自治体も、住民への周知や防災関連施設の整備に、いっそう力を注がなければならない。隣国ロシアとも、過去の地震や津波についての情報交換や共同調査をさらに進めてはどうか。

 警戒すべき地震は、北海道沖にとどまらない。

 筆頭は太平洋側の南海トラフの巨大地震(M8~9級)だ。発生確率は「30年以内に70%程度」と見込まれる。人口密集地帯や交通の大動脈にも近く、日本がかかえる最大のリスクのひとつになっている。

 こうした海溝型の巨大地震に気を取られると、今度は直下の活断層型の地震に足をすくわれかねない。発生の間隔が海溝型よりも長いため、確率は低く出るが、油断は禁物だ。

 例えば阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震について、当時のデータに基づき直前の30年確率を計算してみると、0・02~8%だという。それでもあの朝、大地は揺れた。

 「直前予知できる」との前提で組み立てられていた東海地震対策も、この夏に「予知は不可能」とされ、運用の見直しがあった。後退とも見えるが、地震学の実力に沿った措置だ。

 行うべきは、「地震はいつでも、どこでも起こりうる」という意識をもち、全国でまず最低限の備えをすることだ。そのうえで、地形や地盤の特性、予想される発生確率を知り、土地に見合った対策を積み上げる。

 そうやって「想定外」を一つずつ消していくことが、地震被害を最小限に抑える道である。

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