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 元横綱日馬富士による暴力事件に端を発した一連の問題で、日本相撲協会は貴乃花親方に理事解任の処分を下した。これで区切りとしたいところだろうが、不透明な部分が残り、とても一件落着とはいかない。

 同親方は巡業部長でありながら、巡業中に起きた事件をすみやかに協会に報告しなかった。また、暴行の被害者である弟子の貴ノ岩や親方本人に事情を聴きたいという協会の要請に、長い間応じなかった――。

 この処分理由と解任の判断それ自体は、日馬富士を「引退勧告に相当する」としたこととあわせ、妥当といえるだろう。

 協会は、二つの大きな課題をかかえた。

 ひとつは、暴力に対する意識改革の徹底だ。協会の危機管理委員会は「指導のためなら暴力も容認されるという誤った意識が残っている」と述べ、14年に導入された内部通報制度も機能していないと指摘した。

 今後の対策として同委は、実態調査や行動規範づくり、事件を風化させないための「暴力追放の日」の制定をあげる。着実に取り組み、今度こそ実効あるものにしなければならない。

 もうひとつは、組織を統治し、円滑に運営するガバナンス能力の向上である。

 問題発覚から約2カ月。本場所をはさんで、ファンに醜態をさらし続けた責任は重い。

 親方や力士、行司、床山といった大相撲を担う人は、協会と雇用関係を結ぶ「協会員」という立場にある。だがそれぞれが部屋に所属し、原則として移籍もできない。部屋は力士の育成を協会から業務委託される形をとっているが、実際は新弟子のスカウトから日々の活動まで、自由裁量に任されている。

 協会はいわば個人商店の集まりで、今回も親方の同意なしには力士から話も聴けないなど、一般社会では考えられない姿を世間に見せることになった。

 大相撲の歴史と伝統は尊重するが、協会はそれに甘えてはいないか。税制上の優遇措置をうけるなど、公益法人として社会に対して負っている責務を、いま一度自覚する必要がある。

 貴乃花親方の罪も重い。公の場所で口を開くことはほとんどなく、そのために臆測や無責任な支持・批判がはびこった。協会のあり方や方針に意見があるのなら、堂々と主張し、改革を訴えるのが筋だ。

 来月には2年に1度の協会の役員選挙がある。今回の反省を踏まえ、組織のどこをどう改めるか。徹底的に議論し、信頼回復を図る機会にしてはどうか。

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