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 約2年ぶりとなる南北朝鮮の閣僚級協議が、軍事境界線上の板門店で開かれた。平昌(ピョンチャン)冬季五輪への北朝鮮代表団の派遣などで合意した。

 国際世論を無視してきた北朝鮮が限定的ながら対話の席についたことで、当面は軍事挑発を控えるのでは、との見方がでている。開幕が1カ月後に迫った平和の祭典への参加表明は、ひとまず朗報といえよう。

 閣僚級とは別に、今後は各種の協議を開くことも合意した。その一つである軍事当局者会談は、韓国側が提案したもので、境界線付近での偶発事故などを防ぐねらいがあるという。

 これらの合意を受け、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領はきのう、新年の記者会見で、対話のための対話はやらないとしつつ、条件さえあえば南北首脳会談にも応じる考えを明らかにした。

 まさに問題は、その「条件」である。南北対話の歩を進めていくうえでは、北朝鮮の軍事的な脅威の低下に確実につなげる環境づくりが欠かせない。

 その点で、なお不安は残る。今回の協議で韓国側が非核化に向けた対話を求めたところ、北朝鮮は強く反発したという。

 さらに合意には、南北関係をめぐるすべての問題を「南北が当事者として」交渉を通じ解決する、と盛り込まれた。

 北朝鮮が米国を排除する意図を込めたのは明らかだ。これを盾に米韓軍事演習の中止や在韓米軍の撤退を求め、米韓の離反をねらうことが予想される。

 北朝鮮は国際的な孤立から逃れるためにまず、最も手っ取り早いと考える南北関係の改善に手を付けようとしている。五輪に選手団だけでなく高官や応援団を送るというのも、そのための戦術と見ざるをえない。

 2000年に初の南北首脳会談が実現した直後のシドニー五輪では、南北の選手団が合同入場し、韓国社会に融和的な雰囲気が広がった。南北対話と五輪の成功で国内の支持固めを図りたい文政権の胸の内も、平壌は熟知しているはずだ。

 だからこそ文政権は、内向きな思惑で拙速に陥ってはなるまい。南北の和解自体は好ましいが、ムードに流されて無原則な対北支援に走れば、国際制裁の効果が損なわれる。

 北朝鮮の出方を一つずつ吟味し、米国と日本との調整のもとで交渉の進め方をじっくり組み立てる慎重さが必要だ。

 北朝鮮とのすべての対話を、朝鮮半島の非核化と北東アジアの安定に導く。その目標のもとで、韓国、米国、日本がいっそう結束を固めるべき時である。

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