[PR]

 受験生の将来にかかわるミスだ。外部からの情報を軽視していたと言わざるを得ない。

 大阪大は昨年の入学試験で物理の問題に出題ミスがあり、本来合格だった受験生30人を不合格にしていたことを明らかにした。対象者の中にはすでに他大学に入学している人もいる。10カ月という時間は取り戻せず、招いた結果の重さを阪大は十分に認識すべきである。

 阪大は2年次からの転入や、本来かからなかった授業料などの補償もするというが、個々の状況をふまえた支援が急務だ。

 ミスがあったのは音波に関する二つの設問で、一つは、解答が三つあるのに一つしか正答と認めず、これを前提に次の設問を出していた。

 理解しがたいのは、3回も外部から指摘があったのに発表まで半年以上かかったことだ。

 1回目は昨年6月、入試問題を研究する高校教師らの会合で指摘された。8月には予備校講師が大学あてにメールで指摘した。しかし問題を作成した責任者と副責任者の2人の教授が対応し、ミスではないとの立場をとり続けた。

 12月に別の人物から詳細な論証を記した連絡が寄せられ、大学側は別の教員4人で調査し、誤りがわかったという。

 外部の指摘に組織として対応し、当初から出題者以外の目を入れて検証していれば、9月に入学する措置もとれた。出題者が正しいと思い込み、情報共有を怠った結果、後手に回ったと言わざるを得ない。

 大学入試をめぐるミスは毎年のように起きている。追加合格を伴うミスも08、10年に私大で百人規模に及んだ例もある。

 確かに作問にあたる教員の負担は大きい。だが、1点が合否にかかわる以上、各大学ともチェックを重ね、細心の注意を払ってほしい。同様に重要なのはミスが発覚した後の対応だ。

 阪大は今回の事態を受け、外部の声を受け止めるための委員会を発足させる。指摘を情報共有し、多角的に検証できるよう、他大学の参考になるような仕組みをめざすべきだ。

 大学によっては入試問題や解答例をホームページで公表している。出典の著作権をめぐり配慮は必要だが、なるべく早くさらすことでミスが見つかれば傷は浅くてすむ。各大学は前向きに検討してはどうか。

 13、14日はセンター試験があり、入試シーズンが本格化する。受験生が安心して力を試すことができるよう、公正な場が準備できているか、各大学ともいま一度点検してほしい。

こんなニュースも