[PR]

 高校野球の延長戦にタイブレーク制度が全面的に導入されることになった。球趣をそぐとの声もあるが、第一に考えるべきは高校生の健康である。

 延長十三回から「無死一、二塁」の状態で試合を始める。得点が入りやすくなるので決着が早まり、選手、とりわけ投手にかかる体力面の負荷が減ることが期待される。故障のリスクも下がるだろう。春と夏の甲子園大会をはじめ、ほとんどの公式戦がこの姿となる。

 むろんこれで万全という話ではない。日本高野連は、大会中に試合をしない休養日を増やすことや、開会前に各校が甲子園で行う練習期間を圧縮し、全体として余裕をもった日程を組むことも考えていくという。

 大リーグで活躍するダルビッシュ投手は6日付本紙朝刊のインタビュー記事で、学年に応じて投球回数を制限することを提案していた。自身もひじの手術でシーズンを棒にふった経験を持つだけに、訴えは重く響く。「ひじや肩は消耗する」という米国では当たり前の考えを、国内でも共有する必要がある。

 課題に直面しているのは野球だけではない。

 ことしのサッカーの高校選手権大会は、決勝進出の2チームが5日間で4試合を戦うという極めてハードな経験をした。関係者からは「体力の回復には最低でも24時間かかる。こうした日程は再検討する必要がある」との声があがった。

 サッカーは真夏の高校総体では試合時間を短縮。ラグビーもやむなく連戦となる場合は同様の措置をとる。経験をふまえた対応だが、疲労度や負傷の発生状況など科学的な分析も加え、ルールや大会運営に反映させていくことが不可欠だ。

 中学・高校時代は成長期のため、学年がひとつ違うだけでも体格や体力の差は大きい。けがや故障の予防策もおのずと異なる。その認識を欠き、過度な練習をさせたり、無理な試合スケジュールを組んだりして選手を「つぶす」ことのないよう、競技団体と指導者には十分な知識と責任感、そして休ませる勇気が求められる。

 若者が競技に打ち込む姿は美しい。大きな大会で良い成績をおさめれば、青春の宝物になるだろう。だがそれは決してゴールではない。無理をして体を壊し、後遺症が残るようなことがあれば、その先、スポーツを楽しむ機会そのものを失ってしまう。これでは本末転倒だ。

 競技の違いを超え、スポーツの意義と健康の大切さについて、認識を深めていきたい。

こんなニュースも