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 今年7月に30年の期限を迎える日米原子力協定が自動延長される。両政府とも期限の半年前までに再協議を申し入れず、今の内容で継続する。

 日本の原子力事業は原発から研究開発まで、この協定に従って進められている。なかでも、原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す「再処理」を日本に認めていることは、協定の大きな特徴だ。

 しかし、協定で許されていることと実際に再処理することは別の話だ。日本は既に長崎型原爆を約6千発作れるだけのプルトニウムを抱えており、減らしていくメドは立っていない。

 青森県六ケ所村に電力業界が建設中の再処理工場は動かしてはならない。建設中止を含めて議論すべき局面である。

 前回の改定では、日本は再処理の権利を米国に認めさせることに注力した。核燃料サイクル構想を実現し、プルトニウムを高速増殖炉で燃やせば、燃やした以上の燃料を得ることができ、エネルギー問題を解決できると考えた。

 しかし、核燃料サイクルはこの30年間で、経済性を欠き安全上の懸念も大きいことが明白になった。先進国のほとんどがサイクルを断念。日本も一昨年、高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を決め、サイクル事業は事実上破綻(はたん)している。

 日本が持つプルトニウムは、英仏両国に再処理を委託してきた分を含めて約47トンに達する。政府と電力業界は、それをウランと混ぜて通常の原発で燃やすプルサーマル発電で減らしていくと言うが、原発の多くは福島の事故後、止まったままだ。

 核不拡散条約のもとで、日本は非核保有国では唯一、再処理を認められている。プルトニウムの平和利用に徹するのが条件だが、現状では日本政府がいくらそう強調しても、国際社会の疑念は消えない。

 内閣府の原子力委員会は「利用分だけ再処理する」方針を明示することを検討し始めたが、認識が甘く、対応が遅すぎる。新たにプルトニウムを取り出せる状況ではまったくない。

 余剰プルトニウムは持たないとの国際公約にのっとって、保有量の削減に具体的に取り組むべきだ。英仏への譲渡や米国への処分法の研究委託も一案だ。

 六ケ所村の再処理工場は97年に完成予定だったが、昨年末に23回目の延期が決まり、21年度上半期へと約3年先延ばしされた。トラブルが後をたたず、建設費は当初の4倍近い2・9兆円に膨らんでいる。

 答えは明らかなはずだ。

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