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 中国の昨年の経済成長率は6・9%だった。ここ最近は徐々に減速していたところ、7年ぶりにわずかながら加速に転じた。消費、投資、輸出とも堅調で、まずまずの結果と言っていいだろう。

 習近平(シーチンピン)政権は単に高い成長率を求めるのではなく、成長の質を追求する姿勢だ。昨年末の中央経済工作会議で、そんな方針が打ち出された。

 だとすれば問われるべきは、貧富の差であろう。40年近く前に始まった改革開放以降、ほぼ一貫して悪化してきた問題にどう対応するのか。

 昨年末の会議では貧困対策が重点課題に挙げられたものの、発表文に「過度の期待を抱かせない」との文言がわざわざ盛り込まれた。こうした中央のシグナルは、各地の現場に負の影響を与えかねない。

 昨年11月半ば、象徴的な事件が起きた。北京の出稼ぎ労働者の集まる地区で火災が発生、19人が犠牲になった。これをきっかけに市当局が住民の強制排除に乗り出した。

 「違法建築」をその理由としたが、首都の都市計画推進の前に、彼らの代替住居を用意しておくべきだった。国内でも批判の声が上がった。

 全国の出稼ぎ労働者は2億人を数える。劣悪な生活環境にあり、賃金未払い問題にさらされている。一方で、日本の高所得者以上の生活レベルを享受する都市住民が増えている。

 フランスの経済学者ピケティ氏らのグループが公表している「世界不平等報告」の最新版によれば、中国では上位1割の高所得層が所得全体の41%を占める。北米ほどではないが、欧州より富の偏りが大きい。

 そもそも貧富の差は、80年代以降の経済発展の機会に恵まれた人々と、そうでなかった人々との差に始まる。さらにその上に複合的な要因が加わった。

 財政による所得の再分配機能が相当に弱い。とくに税制では相続税がない。また、年金・医療など社会保障の仕組みは、まだまだ手薄だ。

 近年、大都市部で不動産価格が高騰し、北京や上海では過去数年で3~4倍になった物件が珍しくない。これが格差をさらに広げている。

 社会主義を標榜(ひょうぼう)し、「西側と異なる中国式発展の道」を習政権が強調してみたところで、これまでの経済の実態は米国流の新自由主義に近い。

 昨秋の共産党大会で習氏は、貧困を撲滅し、一人ひとりの生活の質を高めると宣言した。その本気度が問われている。

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