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 「交渉記録は廃棄した」。何度も繰り返された財務省のあの答弁はなんだったのか。

 学校法人・森友学園への国有地売却交渉をめぐり、同省近畿財務局が内部での検討を記録した文書を、情報公開請求していた大学教授に開示した。

 文書は、財務局が16年3~5月に作成した「照会票」とその回答の「相談記録」。

 財務局の担当者が交渉に法的な問題がないか、同局の法務担当に照会した際の記録だ。16年3月に学園が「新たに地下から廃棄物が出た」として「安価に買いたい」と求めたのに対し、国が問題解決のためごみの撤去費を価格に反映させようとしたことなどが記されている。

 土地の売却を前に価格を検討したことを裏付ける資料だ。交渉内容が含まれる文書があるのに、これまで開示しなかったことは全く理解できない。

 財務局は「学園との面談・交渉内容」という請求には「廃棄した」と回答していた。今回は「交渉に際して庁内で作成した報告文書、回覧文書」という請求を受け、公開したという。

 「局内の法律相談記録で、応接記録ではない」と同局は説明する。やりとり自体を記録したものではないから、やりとりの記録ではない――。そんな言い分にだれが納得するだろうか。記録を明らかにし、事実究明に自ら動くべき財務省が、国民に背を向けたかのような態度である。

 信じがたいのは、この文書の存在を国会質疑で明らかにしてこなかったことだ。

 財務省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長(現国税庁長官)は昨年の国会答弁で、交渉記録について「売却契約の成立で事案が終了し、廃棄した」と説明。国は交渉記録はないことを前提に国会対応を続けてきた。

 明らかにその後明るみに出た事実と矛盾する。佐川氏は価格の交渉を事前にしたことはない、と明言。その後も財務省は、野党が音声記録などを示して追及しても「価格ではなく金額のやりとり」などと苦しい釈明に終始した。もっと早くこの文書が出ていれば真相究明の一助となった可能性が高い。

 国民が疑念を払拭(ふっしょく)できないのはなぜ8億円も値引きされたかが、未解明だからだ。情報を出し渋るような姿勢では、疑惑を増幅させるばかりだ。

 すべての関連文書が本当に「廃棄」されたのか。安倍内閣は財務省本省を含めて関連部署を調べ直し、公表すべきだ。

 疑惑を隠すつもりがないなら、国会で議論すればいい。

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