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 言葉数は多い。だが肝心の中身に、肩すかしが目立つ。

 きのう衆院で始まった代表質問での安倍首相の答弁である。

 少子高齢化という「国難」を乗り越えるための「新たな国創(くにづく)り」を――。施政方針演説でそう訴えた安倍首相に、立憲民主党の枝野幸男代表は「お互いさまに支え合う社会」をめざす立場から質問した。

 例えば、生活保護費。一般の低所得世帯の生活水準に合わせて引き下げるという政府方針に対し、枝野氏は、フルタイムで働いても低い収入しか得られない人をなくすことに力を入れるべきだと指摘した。

 だが、首相は「一般低所得世帯との乖離(かいり)を是正する」という従来の説明を繰り返した。

 希望の党の玉木雄一郎代表は保育所などの費用無償化について「無償化の前に保育園全入化を優先すべきだ」とただした。首相は「待機児童解消に最優先で取り組む」と答えたものの、そもそも今の施設の整備計画が不十分では、との問いには直接答えなかった。

 焦点の働き方改革でも「過労死の悲劇を繰り返さない」と決意は示した。だが一方で、残業時間の規制強化と、経済界が求める新たな高度プロフェッショナル制度の導入などの規制緩和をなぜ同時に進めるのか、明確な説明はなかった。

 沖縄で相次ぐ米軍機の事故やトラブルについては「憲法9条改正の前に、日本の調査や捜査を制限している日米地位協定の見直しが先だ」との質問に、首相は「今後とも事案に応じた最も適切な取り組みを積み上げていく」と述べるにとどめた。

 あきれたのは、財務省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長を国税庁長官に充てた人事について「適材適所」と言い切ったことだ。

 佐川氏は、森友学園の国有地売却問題をめぐり、財務省と学園の交渉記録を「廃棄した」と繰り返し国会で答弁した。その後、新たな記録文書の存在が明るみに出た。枝野氏は「徴税事務の信頼を守るために更迭すべきだ」と迫ったが、首相は問題視しない考えを明確にした。

 納得できない納税者は多いのではないか。

 代表質問は26日まで。質問1回、答弁1回で、議論が深まりにくいのは確かだが、首相は施政方針演説で「あらゆる人にチャンスあふれる日本を、与野党の枠を超えてともに作ろう」と呼びかけたはずである。

 来週には一問一答形式の予算委員会が予定されている。言葉通り、野党の質問に正面から向き合う首相答弁を期待する。

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