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 群馬県草津町にある草津白根山の三つの峰のうち本白根山(もとしらねさん)が噴火して、1人が死亡、11人がけがをした。

 気象庁は国内の111の山を活火山とし、そのうち50を地震計や傾斜計、遠望カメラなどで24時間観測している。草津白根山も常時観測の対象だった。ところが、警戒していたのとは別の峰で水蒸気噴火が起きた。当面は噴石の飛来や火山ガスへの警戒を怠れない。

 こうした予想外の事態は全国どこの火山でも起こりうる。

 現在の火山学では、とりわけ今回のような比較的小規模な噴火が、いつ、どこで、どんなふうに起きるかを予測することはまずできない。加えて予算面の制約もあり、観測・監視の網は完璧ではない。

 噴火より高い頻度で発生し、観測や研究の蓄積がある地震ですら予知はできない。予知可能とされてきた東海地震が、不能に変わったのは記憶に新しい。

 火山噴火ではなおさら、「不意打ち」を覚悟し、その前提に立って、被害を減らす対策に力を注ぐべきだろう。

 骨格は、死者・行方不明者63人を出した4年前の御嶽山(おんたけさん)(長野・岐阜県境)噴火後にまとまっている。住民だけでなく登山者も含めて防災対策を立てるように、法律も改正された。

 だが新たに義務づけられた噴火時の避難計画は、常時観測火山をかかえる延べ155市町村のうち、3分の1ほどでしか作られていない。いざという時の対応の基礎となるものだ。策定を急いでもらいたい。

 草津白根山の例に照らせば、想定火口域を広げた方がいい山もありそうだ。登山やスキーなどで大勢の人が訪れる地区が、新たに危険区域に組み入れられるかも知れない。そうした場所を優先して、噴石などから身を守れるシェルターや建造物の整備を進める必要がある。

 美しい景観や温泉は火山の恵みだ。その魅力で人々を集める自治体には、やって来た人々を守る責務がある。国による財政支援があり、安価な工法も開発されている。積極的に取り組んでもらいたい。

 より深刻な課題もある。

 火山防災を進める自治体などから「専門家がいない」という声が絶えない。火山大国でありながら、研究者が非常に限られているのが現実だ。御嶽山の噴火後、国も人材育成に力を入れ始めている。大学や研究機関に継続的に予算を充て、専門家の層を厚くする必要がある。

 取り組みを加速せよ。自然は私たちにそう警告している。

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