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 在日米軍再編に協力する自治体に交付される「再編交付金」。国からの「基地マネー」の一つだが、沖縄県名護市は米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設に反対しているため交付されていない。今後も受け取らずに反対を貫くか。移設を受け入れて受け取るか――。市民は揺れながら28日の市長選告示を迎える。

 「再編交付金がなくても、安定した財政を築いてきました。あんな危ないもの(基地)を持ってこなくていい」。23日に名護市で開かれた集会。現職の稲嶺進氏(72)が訴えると、支持者から拍手がわいた。

 再編交付金は、米軍再編で負担が増える自治体に交付される。2007~16年度に全国延べ47市町村に約838億円が交付された。

 名護市も移設容認の姿勢だった08年度に約14億円、09年度には約3億8千万円を受け取り、道路整備などに充ててきた。

 だが10年の市長選で移設反対の稲嶺氏が当選すると、交付は止まった。市の13事業が宙に浮き、2事業は中止や保留となった。ただ11事業は、12年度にできた沖縄振興一括交付金など別の財源をあてて継続。市によると8事業が終わり、残りの3事業もめどがついたという。

 ■「なくても困らない」「発展、取り残される」

 市立久辺(くべ)中学校の体育館の建て替えもその一つ。完成予定は遅れたが、文部科学省の補助を受けて新年度に完成する。市の担当者は「もともと再編交付金はなかったため、それがなくなったといって、(財政が)困るという話ではない」と語る。

 稲嶺市政の8年間で、財政調整基金などの積立金は38億円から72億円に増えた。一方で、借金である市債残高は、221億円から270億円超に増えた。

 前市議の新顔渡具知(とぐち)武豊氏(56)はこの点を突く。借金増加は稲嶺市政が移設反対に固執しすぎているためだとし、再編交付金を含め「国から受け取れる財源は受け取る」と主張する。22日に開いた集会では「政府としっかり協議し、ありとあらゆる予算を獲得するために汗をかく」と声を張った。ただ、普天間移設については、ほとんど触れない。

 名護市は沖縄本島北部の中心都市だが、基幹病院整備や教育環境の遅れなども指摘され、集客力の大きな観光施設も少ない。好景気に沸く沖縄で「発展から取り残されている」と感じる市民も多い。介護職の30代男性は「遊ぶところ、消費するところがない。交付金で地域を活性化できれば」。

 東京商工リサーチ沖縄支店によると、16年度、県内で純利益が2千万円以上だった企業の数は902社と前年度より1割以上増え、8年連続で過去最多を更新した。40代の建設会社員は「現実に仕事があるから問題ない。もらえるならもらった方がいいと思うけど」と話す。電気設備会社に勤める50代の男性は、工事が増えているといい「かえって人手が足りない状況」と話す。(岡田将平、上遠野郷)

 ■基地関係収入7.3%

 「基地マネー」は、沖縄の自治体財政のどれくらいを占めるのか。一つの指標となるのが、県が毎年公表している米軍や自衛隊の基地関係収入だ。この中には、「再編交付金」のほか全国の基地所在自治体に交付されている「基地交付金」や「調整交付金」、土地の賃料などが含まれる。2015年度、県内41市町村のうち28市町村に基地関係収入があった。再編交付金は4市町村が受け取っており、総額は8億4千万円。

 沖縄では軍用地の65%が自治体や個人の所有(16年3月末)のため、土地の賃貸料である「軍用地料」の額が大きい。ただ自治体歳入に占める基地関係収入の割合は市町村の平均で3・5%に過ぎない。名護市は31億8千万円で7・3%。うち約3分の2が軍用地料だった。

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