[PR]

 米軍基地問題で注目を集める沖縄県名護市の市長選(2月4日投開票)では、観光振興をめぐっても論戦が繰り広げられている。現職の稲嶺進氏(72)はパンダ誘致を訴え、新顔の渡具知(とぐち)武豊氏(56)は海岸を開発する「ロングビーチリゾート構想」を掲げる。背景には名護特有の事情がある。

 「パンダを呼ぼう。招致によって観光経済はさらなる大きな発展を遂げる」。稲嶺氏は告示日の28日、街頭でそう訴えた。パンダの着ぐるみも登場した。

 稲嶺氏は8日の政策発表会見で「パンダ誘致」に初めて言及。市が経営改善に関わる市内の動植物園を再整備し、県と連携しながら中国からパンダを借り受けると説明した。

 稲嶺氏を支援する翁長雄志(おながたけし)知事は19日の定例会見で「半年前くらいから『パンダを沖縄で』という話があり、可能性の熟度が高いと思っていた」と前向きな姿勢を示した。民間の招致委員会立ち上げの方針も発表された。

 渡具知氏陣営は、この政策を批判する。支援者に配った資料には「人寄せパンダ公約は、市民をダマしていませんか?」。施設整備やエサ代に数億円かかるなどと主張する。これに対し稲嶺氏は「民間主導で、名護市の財政を圧迫するわけではない」と応じている。

 渡具知氏の集会では「ロングビーチリゾート構想」の大きな想像図が壁に掲げられた。海沿いにリゾートホテル2棟が立ち波の出るプールやスタジアム、陸上競技場、5千席のアリーナなどが並ぶ。渡具知氏は28日の第一声で「ロングビーチリゾートを整備して滞在型観光を進める」と訴えた。

 名護には「素通り観光」と呼ばれる特有の事情がある。沖縄県の昨年の観光客数は939万6200人。5年連続で過去最高を更新した。名護の北西約15キロにある「沖縄美ら海水族館」(本部〈もとぶ〉町)には、昨年度約363万人が訪れた。

 水族館へと通じる国道が走る市内は、レンタカーが次々と通過。市の資料によると、レンタカーの停車率は本部町は7割強だが、市内は4割弱にとどまる。県関係者は「名護の活性化には、観光しかない。市民の関心も高い」と言う。

 名護の振興をめぐっては過去にも市長選の際に、自民党幹部が500億円の「名護振興基金」構想を突然表明したこともあった。構想はうやむやになり、実現していない。(小山謙太郎)

こんなニュースも