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 中国と台湾との間は、このところ中国側が対話を拒んだままになっている。冷え切った関係を象徴する出来事がまた一つ、この1月にあった。

 台湾海峡の中間線付近を南北に飛ぶ民間航空路を、中国側が台湾と話しあわないまま新たに運用し始めたのだ。

 この航空路は3年前に中国が設けた。大陸に近い台湾の金門島、馬祖島と台湾本島を結ぶ航空路と交錯するルートである。

 当時の台湾の馬英九・国民党政権が問題視し、中台当局者が話しあった結果、南下に限って運用することで合意した。

 今回、中国は北上にも使い始め、さらに、この航空路と沿海3地点を結ぶルートの運用を加えた。台湾には一方的に通告をしただけだった。

 ことは空の安全にかかわる問題である。台湾の蔡英文(ツァイインウェン)政権が反発するのは当然だ。

 航空路は中国の管轄空域内ではあるが、国民党政権の時と同様に台湾側と事前に協議すべきだった。安全な運航を最優先する責任はどの政府にもある。

 この空域では最近、中国空軍機の飛行もめだつ。軍民入り交じる飛行量が増えることで、台湾側が軍事上の警戒に神経をすり減らすことにもなるという。

 今の中台間の対立は、「一つの中国」つまり「台湾が中国の不可分の領土である」との原則を認めるかどうかの問題だ。かつて国民党と中国共産党には一致点があったが、16年春に発足した蔡氏の民進党政権は「一つの中国」に同意していない。

 そのため習近平(シーチンピン)政権は対話を拒み、圧力をかけている。

 しかし、民間機の運航にかかわる実務問題を政治の道具にすることは不適切だ。航空分野では16年秋にあった国際民間航空機関(ICAO)の総会で台湾代表が出席を拒まれた。これも中国の力が背景にある。

 蔡政権は、台湾独立志向を内包しているとはいえ、刺激的な行動を抑え、現状維持に努めてきた。中台間で貿易や人の往来が活発であることを踏まえた穏当な対応といえる。

 これに対し、台湾海峡を波立てているのは狭量な習政権のほうだ。日ごろ台湾に向けて「同胞」と呼びかけるのなら、対話をまずは再開するべきだ。

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