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 米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市の市長選で、安倍政権の全面支援を受けた新顔が、移設反対を訴えた現職を破り初当選した。

 たび重なる選挙で示された民意を背景に、辺野古移設阻止を訴えてきた翁長県政の痛手は大きい。ただ、政権側が「これで移設が容認された」と考えるなら、単純すぎる。

 選挙結果は辺野古容認の民意と思いますか。当選した渡具知(とぐち)武豊氏はそう問われると、「思わない」と答え、「市民の複雑な意見は承知している」「国とも一定の距離は置かないといけない」と続けた。

 今回、組織選挙で同氏を支えた公明党県本部は「辺野古移設反対」を掲げる。渡具知氏との政策協定では「米海兵隊の県外・国外移転」をうたった。ならば、海兵隊が使う辺野古の基地は必要なくなるはずである。

 今後、この公約を果たすべくどう行動していくか。渡具知氏とともに公明党も問われる。

 渡具知氏は選挙中、移設問題について「国と県の裁判を見守る」としか語っていない。代わりに強調したのは経済振興であり、政権側も交付金をちらつかせて後押しした。

 朝日新聞などが告示直後に行った世論調査は、市民の揺れる心情を浮かび上がらせた。

 辺野古移設に反対が63%で、賛成の20%を大きく上回った。一方で、投票先を決めるとき何を最も重視するかを聞くと、移設問題が41%、地域振興策が39%でほぼ並んだ。

 「基地より経済」ではなく、「基地も経済も」――。市民の思いは一様ではない。

 選挙戦さなかの国会で、首相の気になる発言があった。

 沖縄の基地負担軽減に関連して、「移設先となる本土の理解が得られない」と衆院予算委員会で述べたのだ。

 本土ではしないのに、沖縄では県民の理解が得られなくても新たな基地を造るのか。それこそ差別ではないのか。

 首相はまた、ことあるごとに「最高裁の判決に従って(工事を)進めていきたい」と語る。

 だが最高裁判決はあくまで、前知事による埋め立て承認を、翁長知事が取り消した処分を違法と判断したものだ。最高裁が辺野古移設を推進していると受け止められるような物言いは、明らかなミスリードだ。

 辺野古移設の浮上から6度目の市長選だ。本来は身近な自治のかじ取り役をえらぶ選挙で、基地移転という国策をめぐって民意が引き裂かれる。その重荷を取り除く責任は政権にある。

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