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 北朝鮮の雪解け戦術がついに南北朝鮮サミットの呼びかけにまで達した。その対応を考えるうえで、恒久的な緊張の解消と非核化という目標を忘れてはならない。

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪に伴い韓国を訪れている北朝鮮代表団が、文在寅(ムンジェイン)大統領の早期の訪朝を呼びかけた。最高指導者である金正恩(キムジョンウン)氏からの要請として、妹の与正(ヨジョン)氏が伝えた。

 文氏は即答を避けつつ、「条件を整えて実現させよう」と前向きな意向を示したという。

 孤立を深める北朝鮮が融和の攻勢に出る意図は明らかだ。北朝鮮を突きはなす米国の側から韓国を引き寄せ、自らの包囲網を崩したいのだろう。

 その意味で、文氏が南北関係の進展に並行して、「早期の米朝対話が必須だ」と与正氏に求めたのは適切な判断だ。今後、米国・日本と緊密に協議しつつ対応を練ってもらいたい。

 北朝鮮のねらいがどうあれ、南北の指導者による直接の話しあいは本来、あるべき姿である。同じ民族同士が少しでも和解を進め、朝鮮半島の根本的な対立の構図を変えていく努力を重ねることは望ましい。

 軍事挑発を続け、経済的に立ち遅れる北朝鮮に対し、韓国側の同胞意識は時の経過とともに薄れつつあるが、南北交流を深めたいとの世論は根強い。

 ことしは、南北が分断して70年の節目の年でもある。歩み寄りの機運をてこに、北朝鮮に対する国際社会の懸念をしっかり伝えるべきだ。

 文氏が語ったように、訪朝に向けた環境づくりは熟慮を要する。米国などとの調整に加え、国連安保理制裁の効果を損ねる行動は厳に慎まねばならない。

 自らが大統領府の高官として取り組んだ07年の南北首脳会談の教訓を忘れてはならない。南北関係の進展を焦り、過度の経済支援に傾いたために、韓国国民からも反発を受けた。会談は長期的な成果を生まなかった。

 さらに北朝鮮は自らを核保有国と語るようになり、状況は当時と異なる。文氏が「南北対話を米朝対話につなげる」と繰り返すのも、核・ミサイル問題の解決には結局は、米朝交渉しかないことを認めての発言だ。

 国際社会による制裁を維持しつつ、なぜ非核化せねばならないのかを金正恩氏に説く。南北だけでなく、米朝と日朝の枠組みにも交渉の幅を広げていく。その努力を求めたい。

 北朝鮮問題はいまや軍事的な衝突の危機に瀕(ひん)している。朝鮮半島の当事者を自認する韓国大統領が果たす役割は重大だ。

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