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 若い女性がアダルトビデオ(AV)に出演を強要される被害が問題となっている。

 「アイドルをめざしませんか」などとスカウトしたり、ネットで高給のバイトと誘ったり。夢につけこみ、AVと告げることなく、時にはうその説明で契約させる。出演を拒めないよう追い込む手口である。

 被害者は10~20代前半に集中する。高額の違約金をたてに、いやがる女性を出演させ、性行為を強いる。心身を深く傷つける性暴力で、許されない。

 いったん販売・配信されると、映像などの削除は困難だ。業者に削除を求めても、ネットに流れたものまで完全に消すことは難しい。家族や友人に知られないかと不安になり、自分を責め、心を病む女性もいる。

 根絶のために、官民あげた取り組みが必要だ。

 政府は昨年3月、若い女性の被害を防ぐため、関係府省庁による対策会議を設置した。だが体制はまだ十分とはいえない。

 被害者から聞かれるのは、どこに相談していいのかもわからなかったという声である。性暴力に関して広く相談を受ける窓口は、NPO法人などが開設している。そこもボランティアや寄付金が頼りで、人手と費用の確保に悩む所も少なくない。

 AV強要に関して、「ポルノ被害と性暴力を考える会」は、NPO「ライトハウス」とともに年間百件の相談を受ける。電話は深夜まで続く。それでも潜在的な被害の一部とみられる。

 被害者に寄り添うには、力のある相談員が必要。窓口が都市部に偏在することも問題だ。各地のNPOなどが情報共有の場を設け、支援の輪を広げられないか。それを国が資金的に後押しすることが望ましい。

 もちろん違法行為はまず警察が目を光らせるべきだ。

 昨年6月には、女子高校生にAV出演への同意を強制したとして、DVD製造販売業の男が強要容疑などで大阪府警に逮捕され、保護観察付きの有罪判決を受けた。窓口の通報で事件化される例もあろう。その意味でも相談体制の充実は急務だ。

 米国務省は昨年、世界の人身売買をめぐる報告書(17年版)で日本のAV出演強要を、詐欺的な勧誘と脅迫だと指摘した。

 性暴力は人権を踏みにじる行為だ。社会全体で根絶への動きを強めたい。

 業界ではメーカーなど約200社でつくる団体が中心となり、弁護士らによる第三者機関を発足させた。被害者をうみだした現実を重く受け止め、改革を進めるべきである。

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