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 身近にひそむ危険を地図にまとめる活動を通じ、防災や防犯への意識を高めてもらおうと始まった「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」の14回目の表彰式が1月27日、東京都千代田区の損保会館であった。全国47都道府県から2582作品の応募があり、入選した17作品が表彰された。

 コンクールは日本損害保険協会、朝日新聞社、日本災害救援ボランティアネットワークが主催、日本損害保険代理業協会などが後援している。第1回からの延べ参加児童数は15万人を超えた。

 今回は、小学校や子ども会、少年消防団など538団体から計1万6370人が参加。地域を歩き、住民の話を聞いて危険な場所を調べた。

 審査員長の室崎益輝・神戸大学名誉教授は「マップができることで、地域や社会、学校がより安全になります」と述べ、空き巣や自転車事故など身近な危険に注目した作品、広島の豪雨災害についての作品に言及。「地域の人の悲しい体験を全国の人に伝える責任を子どもたちが果たそうとするのは、すばらしいことです」と話した。また、海の清掃活動を通じて防災を考える作品についても触れ、「日常的な環境を良くするその延長線上に防災があり、大切な命が守られるということを教えてくれました」と評価。「過去になかった新たな試みが出てきたことをうれしく思います」と総括した。

 また、日本損害保険協会の原典之会長は表彰式で、「学んだことを家族や地域の人に教えてほしい」と呼びかけた。

 【文部科学大臣賞】 福井県坂井市立平章小5年お城チーム

 ■70年前の震災に学び、まち点検

 「自分たちの住む街で地震が起きたらどうなるのか」。そんな疑問から、福井県坂井市立平章(へいしょう)小学校のチームは「しろのこ防災探検隊」と題するマップをまとめ、校区内の建物が倒壊する危険性や、発災当初に開設される「1次避難所」の場所を紹介した。

「しろのこ」は、地元にあるお城にちなんだ平章小の児童たちの愛称だ。

 チームは5年生の22人。平章小では5年生になると、全員が「少年消防クラブ」に入り、1年間かけて防災について学ぶ。メンバーは昨年9月、消防職員らの案内で学校周辺の「探検」に出かけ、1948年に起きた福井地震の震源地が、自分たちが生活する地域だったことを知った。

 地震やその備えについて調べると、校区内には想定される最大震度の地震が起きた場合、全壊する確率が30%を超える場所が多くあった。建物が密集しているため、火災時に延焼の危険性が高く、道幅が狭いので消防車が通りにくいことも分かった。安否確認や初期消火の拠点となる1次避難所として、近くにある公園や公民館などが指定されていることも知った。

 このためマップには避難所の場所を示し、全壊率が高いエリアは茶色で塗りつぶして注意を促した。福井地震時の被災状況を記したり、探検を通じて学んだことをクイズ形式で紹介したり。さらにLEDを使い、消火栓の位置が点滅するよう工夫を凝らした。

 酒井優仁(ゆうじん)さん(11)は「どこに避難したらいいか知ってもらい、いざという時は素早く安全なところに避難してほしい」と話した。(南有紀)

 【防災担当大臣賞】 香川県三豊市仁尾町児童館「におっこ清掃探検隊」

 南海トラフ地震が起きると、津波が15分以内に町に到達するといわれる。子どもたちは海の清掃をしながら海岸線を調べたり、時間内にどこまで避難できるか測ったりした。喜田悠(はるか)さん(11)は海岸にテレビが落ちていてびっくりした。「海をきれいにして、ゴミを減らすことが環境保護や防災につながると思った」

 【消防庁長官賞】 札幌市豊平区月寒少年消防クラブ「月寒ぼうさい探検隊 New Generation」

 地震や大雨、大雪など、考えられる災害からどう身を守ればよいのか、調べた。

 佐藤竜哉さん(12)は避難の際に手助けが必要な「要支援者」が気になり、地域の老人ホームに足を運んだ。「避難先ではお年寄りに『大丈夫ですよ』と声をかけてほしいと言われたので、少しでも役に立ちたい」と決意を新たにした。

 【まちのぼうさいキッズ賞(日本ユネスコ国内委員会会長賞)】 富士見キッズ「チーム4年」(東京都)

 自転車の交通安全にテーマを絞ったユニークな地図だ。警察官、医師、自転車販売店など自転車には多くの人が関わっていると知った。自転車に乗って町の中の危険を見つけ、地元区長に改善策を提案。しばらくして標識が見えやすいよう木の枝を切ったと連絡があった。「少しでも事故が減ったらうれしい」と平岡正充さん(10)は話す。

 【気象庁長官賞】 亀崎学区少年消防クラブ「亀っ子防災探検隊」(広島県)

 2014年8月に地元で起きた広島豪雨災害を取り上げた。「あの日を忘れず、被災経験を伝えたい」という思いをマップに込めた。当時の町内会長の男性は「2階で救助を待つ間は不安と恐怖だった」と話してくれた。伊藤可奈さん(10)は「いつ予報を上回る大雨が降るか分からないので怖い。ちゃんと備えて無事に逃げられるようにしたい」。

 【キッズリスクアドバイザー賞(日本損害保険代理業協会賞)】 学童保育ひまわりクラブ「ひまっしー隊」(静岡県)

 土砂災害が起きやすい山裾のまちにたくさんの家が立つ。そんな地域の特性に問題意識を持って取り組んだ。大雨で土砂崩れが発生した場所の写真を地図上に貼り付け、茶色に塗った細長いテープを使って土砂が街中に流れ込むようすを立体的に表現した。勝又胡桃(くるみ)さん(9)は「みんなでアイデアを出し合ったのがよかった」とにっこり。

 【未来へのまちづくり賞(朝日新聞社賞)】 西部子ども公民館放課後児童クラブ・こすもすクラブ「こすもす探検隊」(福島県)

 地元の女性から家に泥棒が入ったと聞いたことがきっかけで、防犯について考えた。地域にインタビューをして外出時に鍵をかけない人が少なくないことをデータで示した。「まちを歩くことで何をしなければいけないか気づいた」と林唯月(いつき)さん(9)。「隣近所に声をかけ合って」など、安心安全なまちづくりへの提案を5項目にまとめた。

 【わがまち再発見賞(日本災害救援ボランティアネットワーク賞)】 愛媛県愛南町立家串小「家串カルテット」

 海抜20メートル以上の場所へ避難すると学んだが、疑問がわいた。「避難場所で命を守った後は?」。避難場所から避難所への道のりを調べ、地図に留意点を書いた。テーマは「自分の命は自分で守る」。発災後のまちの様子をイメージして歩き、提案につなげた。渡邊魁斗君(9)は「防災倉庫の中に色々な物があれば地域の人も喜ぶと気づいた」。

 【ぼうさい探検隊賞(日本損害保険協会賞)】 岩手県一関市中里放課後子ども教室「中里青ぼうし安全探検隊」

 自分たちの学区は、市内でも交通量が多い。事故をゼロにしようとの願いを込めた。地図上、事故が起きた場所にシールを貼り、危険な場所が一目でわかるようにした。事故防止のために運転手と歩行者、自転車に乗る人がお互いに気をつけなければならないことも整理。遠藤風珂(ふうか)さん(11)は「地図を見て安全に気をつけて」と話した。

 ■審査員特別賞に8作品

 文部科学大臣賞など9作品のほか、次の8団体の作品が審査員特別賞に選ばれた。

 札幌南区川沿少年消防クラブ(北海道)▽相馬市立中村第二小学校放課後児童クラブ かもめクラブ(福島県)▽鹿嶋市立平井小学校(茨城県)▽ガールスカウト神奈川県第53団(神奈川県)▽鳥羽市安楽島子ども会(三重県)▽愛南町立東海小学校(愛媛県)▽浦添市立宮城っ子児童センター(沖縄県)▽糸満市立糸満南小学校・糸満南幼稚園(同)

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