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 米軍の艦船などを自衛隊が守る「武器等防護」について、防衛省が昨年の実施結果を公表した。安全保障関連法に基づく、米艦防護と呼ばれる任務だ。

 まずその中身の薄さに驚く。

 書かれているのは、米艦と米航空機の警護計2件を「防衛に必要な能力向上のための共同訓練」として行ったことだけ。日時も場所も記載がない。

 安倍首相はもうお忘れか。

 米艦防護をめぐり、15年の安保法案の国会審議でこう誓ったことを。「国会及び国民に対する説明責任を果たすため、可能な限り最大限の情報を開示し、丁寧に説明する考えだ」

 だが、実際に公表されたものはおよそ「情報開示」「丁寧な説明」の名に値しない。

 昨年5月に海上自衛隊の護衛艦が米艦艇に初めて実施した際は、政府はその事実を公表しなかった。一方で、米航空機への防護については首相が先月の施政方針演説でみずから明らかにし、「日米同盟は間違いなく、かつてないほど強固なものとなった」とアピールした。

 「成果」を訴えたい時は公表するが、そうでなければ隠す。政権による恣意(しい)的な情報操作と言われても仕方あるまい。

 もう一つあきれるのは、手続きのあまりのずさんさだ。

 16年に国家安全保障会議(NSC)が策定した武器等防護の運用指針は、防衛相に対し、前年の警護結果をNSCに報告するよう求め、政府として適切な情報公開を促している。

 昨年の結果は「指針に従い、2月5日にNSCに報告した」――。立憲民主党の逢坂誠二衆院議員の質問主意書に対する6日付の安倍内閣の答弁書には、そう記されている。

 ところが、5日は佐賀県神埼市で住宅に陸上自衛隊のヘリコプターが墜落する事故が起き、NSCは開かれていない。

 13日の記者会見でこの矛盾を問われた小野寺防衛相は「NSCの議長たる首相に書面で報告することで、NSCへの報告とした」と述べた。

 ならばなぜ、正直にそう書かなかったのか。あるいは日を改め、指針通りNSCに報告することもできたはずだ。

 安保法は、平時の米艦防護について、実施するか否かの判断を防衛相に委ねている。国会への報告は必要とされていない。

 適切な情報公開もなされず、NSCへの報告も形骸化している。自衛隊への民主的統制の不全にほかならない。

 国会の関与を強める必要がある。9条改憲論の前に、安保法を正す議論こそ欠かせない。

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