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 人権がおろそかにされてきた状況を、新たな仕組みによって改善できるのだろうか。

 働く現場に外国人を受け入れる技能実習制度で「適正化法」が施行され、3カ月が過ぎた。

 監督機関として外国人技能実習機構を新設。受け入れ窓口となる商工団体などに報酬や労働時間を記した実習計画作りを求め、認定する。団体傘下の事業者に対して機構が実地検査できるようにし、罰則も設けた。

 厚生労働省によると、旧制度だった16年、指導監督の対象となった5600あまりの事業場のうち、7割で法令違反が見つかった。労働時間や安全基準、賃金の支払い状況など、問題は多岐にわたる。

 適正化法でようやく対策に乗り出した格好だが、不安は尽きない。

 まずは機構の陣容だ。実習生を受け入れている事業者が4万に及ぶのに対し、機構の職員は三百数十人にすぎない。

 そもそも、監督や規制の強化と同時に受け入れを拡充したことは理解に苦しむ。同一外国人の受け入れ期間は原則3年だが、優良な事業者では5年まで可能とし、初の対人サービスとして介護事業を加えた。

 海外協力を目的にうたう技能実習制度は、人手不足への対策になっているのが実情だ。第2次安倍政権の発足後、建設分野などで受け入れを広げてきた。厚労省によると昨年10月時点で26万人近くに達し、4年間で12万人も増えた。

 国際的にたびたび非難されてきた制度である。今回の監督強化も、受け入れ拡大ありきと見られても仕方がない。状況を改められるのか、厳しい視線が注がれていることを忘れてはならない。

 注目されるのが、政府による人権の行動計画作りだ。

 ビジネスに伴う人権侵害を防ごうと、国連が11年に原則を示し、国ごとに計画を立てるよう求めた。欧米を中心に20カ国ほどが既にまとめ、日本も外務省を中心に作業を進めている。

 人権を巡る課題は山積みだが、NGOなどが特に問題視するのが技能実習制度である。

 最近は、日本を代表する大企業からも懸念の声が相次ぐ。原材料や部品の仕入れ先から作業の委託先、製品の販売先まで取引全体への目配りが求められつつある。自らが把握しきれない末端の業者でも、問題があれば批判されかねないためだ。

 計画作りではNGOや企業の声を聞くことが不可欠だ。行動計画が試金石になることを自覚し、作業を急がねばならない。

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