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 原発をはじめとするエネルギー政策に、大きな一石を投じる動きである。国会でしっかり審議し、ほころびが目立つ今の政策を見直すきっかけにしなければならない。

 野党第1党の立憲民主党が「原発ゼロ基本法案」をまとめた。他の野党に同調を求め、3月に国会に提出するという。

 法案の核心は、「施行後5年以内の全原発の運転廃止を目標とする」と明記したことだ。そのための基本方針や推進体制も示した。脱原発の切り札と期待する再生可能エネルギーについては、政府の政策を大幅に上回る導入目標を掲げる。

 原発を重要な基幹電源とする政府・与党の方針に、真っ向から異議を唱える内容だ。

 福島第一原発の事故以来、エネルギー政策への国民の不信は根強く、原発の再稼働に反対する世論が多数を占める。立憲民主党は法案づくりと並行して市民との対話集会を各地で開き、そうした声に耳を傾けた。原発の退潮や再エネの急拡大といった大きな変革が世界的に起きていることも背中を押した。

 法案の内容にはうなずける点が多いが、原発ゼロをめざすペースや手順については、さらに丁寧に検討すべき課題も少なくない。「施行後5年」という短期間で原発をなくした場合、代わりに火力発電を活用することに伴う二酸化炭素排出量の高止まりや、再エネ拡大による電気料金の上昇など、一定の「副作用」も予想される。

 脱原発を着実に進めるには、そうした問題への対処が不可欠だが、立憲民主党の政策はまだあいまいだ。具体策や行程の検討を急ぎ、説得力を高める必要がある。

 政府はエネルギー基本計画の改定作業を進めている。審議会で議論を重ねているが、原発や石炭火力を積極的に活用する従来の方針を維持する方向だ。

 依然めどが立たない「核のごみ」の処分、核燃料サイクルの行き詰まりといった原発政策の弱点や、再エネをどこまで増やせるかなどについては、議論が深まらない。

 エネルギー情勢の大きな変化に向き合わない政府の姿勢を正すのは、国民を代表する国会の責任である。与党は国会で圧倒的な多数を握るが、だからといって、原発ゼロ法案をたなざらしにすることは許されない。

 どんなエネルギー源をどう使うかは、国民生活や社会のあり方を左右する。法案提出を機に与野党は議論をたたかわせ、めざすべき将来像とそれに向かう道筋を描いてほしい。

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