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 ■ありがとう 夏100回 これからも

 満州事変が始まる直前だった1931年の夏。阪神甲子園球場で夏の大会は「戦前の中等野球の最も充実した爛熟(らんじゅく)時代」(大会40年史)を迎えていた。そして、最後の平和を惜しむかのように空の出来事も華やかだった。

 この夏、大西洋無着陸横断で一躍世界の英雄になった米国の飛行家チャールズ・リンドバーグが、副操縦士でもある妻アンとともに来日している。

 第17回全国中等学校優勝野球大会の情勢を占う7月18日付大阪朝日新聞夕刊の記事の隣に、同夫妻が「今月末出発/霞ケ浦で正式着水許可」とある。

 また8月2日には、前年に英国―豪州間の飛行に成功し「空の女王」と呼ばれた英国の飛行家エイミー・ジョンソンが、訪日の意向を東京朝日新聞社へ打電。ロンドンを7月27日に出発していた彼女はシベリアのイルクーツクから同社に、日本の航空当局への手続きを依頼した。

 代表校22校の決定を1面の社告で伝える8月6日付大阪朝日新聞は、ソウルまで来たジョンソン機と、米・ワシントンから北太平洋を経由してほぼ中間地点へ来ていたリンドバーグ夫妻機、双方の模様を伝える。

 7日付同紙は「実況放送に/全力を注ぐ/本社主催 中等学校野球大会で」と、大阪中央放送局(JOBK)による大会の速報体制を紹介。同じ新聞に、「ジョンソン嬢/晴れの帝都入り/きのふ午後五時十七分立川着」と、英日間を10日間で結びその当時の新記録を達成した彼女が、花束を両腕にほほえむ写真を掲載した。

 初出場の中京商(愛知、現中京大中京)が同じく初出場の台湾代表、嘉義農林を破って優勝したと朝刊が伝えた22日、リンドバーグ夫妻は北海道・根室を目指し、千島列島の武魯頓(ぶろとん)島を離陸、24日に根室へ着水した。この日、大阪朝日新聞は「歓呼に迎へられ/空の大使根室に/猟奇と冒険に満たされた/空の漫歩を続けて」と号外を発行。残る課題は太平洋無着陸横断だった。(編集委員・永井靖二)

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