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 新年度予算案がきのう衆院で可決された。野党は採決することに反対したが、政府・与党が押し切った。目に付いたのは、働き方改革や森友学園の問題で、数多くの疑問に向き合おうとしない政権の姿勢だ。

 野党は働き方改革関連法案の国会提出を断念するよう迫った。これに対し安倍首相は当初、「与党の(法案の事前)審査があるから、今確定的なことは言えない」とはぐらかした。

 だが法案を出すのは与党ではなく政府だ。首相の肝いり法案でもあり無責任としか言いようがない。予算案可決後のきのう深夜、野党から批判を浴びた裁量労働制の対象拡大を法案から切り離す事態に追い込まれた。

 そもそも働き方改革をめぐる議論がこじれたのは、首相が「裁量労働制で働く方の労働時間は、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁し、その後撤回したことがきっかけだ。

 法改正を議論した厚生労働省の審議会に提出された関連調査には、次々と異常値や不自然なデータが見つかっている。国民が納得できるよう政府が説明を尽くすのは当然だ。

 森友学園への国有地売却問題では、財務省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長(現国税庁長官)が昨年の通常国会でなぜ、明らかに事実と異なる答弁を繰り返したのかが焦点である。

 深刻な疑問を投げかける文書が次々と見つかっても、政府は虚偽答弁にあたらないと繰り返す。売却手続きのずさんさを会計検査院に指摘されたのは誰の責任か。そう問われた麻生財務相は「事実関係を精査し、必要があれば対応する」と答えるばかり。その一方で、事実の解明に欠かせない佐川氏らの国会招致には頑として応じない。

 野党の追及をひたすらかわし、質問時間が過ぎるのを待つ。首相らの姿勢からうかがえるのは、「安倍1強」の政治状況への甘えとおごりである。

 国会で少数にとどまる野党が行政監視機能を果たすには、党派を超えた協力が不可欠だ。

 衆院での予算審議の終盤、野党6党は足並みをそろえ、働き方改革関連法案の国会提出断念や、佐川氏の証人喚問を与党に要求した。裁量労働制を巡る調査データの不備に関しては、首相自身から「きっちり実態把握をしない限り、政府全体として前に進めない」との答弁を引き出し、法案の一部削除と提出時期の延期につなげた。

 参院でも、質問内容の調整や共同要求などで協調し、監視の役割を果たさねばならない。

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