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 メダルラッシュにわいた平昌冬季五輪。そのすべり出しで、応援の機運に水を差したのが日本オリンピック委員会(JOC)の「指示」だった。

 選手の所属する学校・企業が壮行会や成績報告会を開くとき、公開で行うことは認められない――という内容だった。

 多くの人が首をひねりながらも、本番間近の選手を混乱させてはならないと、予定していた行事の公開をとりやめた。

 指示にはむろん理由がある。

 五輪のマークや「オリンピック」という名称などの利用方法について、JOCは指針を定めている。国際オリンピック委員会(IOC)のルールを踏まえたもので、壮行会やパブリックビューイングを公開実施できるのは、競技団体、自治体、公式スポンサーに限られる。

 所属企業や学校に認めると、商品や生徒募集の宣伝に使われかねない。つまり「便乗商法は許さない」というわけだ。

 スポンサーが拠出する資金は多額で、財政が豊かでない国のスポーツの援助などにも使われる。そんなスポンサーの権益を守る必要は理解できる。

 だとしても、例えば地域の学校に通う選手を、地域の住民と共に励まし、健闘をたたえたからといって、その権益がどれほど侵されるというのか。指示はいくらなんでも行き過ぎだ。

 事実、大会の閉幕が迫った先月23日になって、JOCは突然「学校による報告会はOK」と言い始めた。学校・企業が支えてきた日本スポーツ界の歴史や状況を、ずっと前からIOCに説明してきたが、それが「やっと認められた」という。

 話どおりなら、逆にこれまでどんな交渉をしてきたのか。能力と姿勢に疑問符がつく。

 JOCは指針自体は昨年秋に決まっていたという。だが競技団体に通知しただけで、選手、企業、学校などには周知されていなかった。東京五輪が近づき応援ムードも高まることを見通さず、漫然と対応した結果が、開幕直前のトラブルを招いたといえるのではないか。

 指針は五輪ごとに作られる。JOCは今回の経緯と問題点を検証し、東京五輪時の指針を多くの人に理解してもらえる内容にするよう、IOCと協議を進めるべきだ。併せてそれが、スポーツや選手を応援する学校・企業などにもしっかり届くように、広報や伝達の仕組みを再検討する必要がある。

 五輪は国民の支持と理解がなければなり立たない。「東京後」も見すえ、考え方と対応を整理する機会にしたい。

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