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 中国軍は長年にわたり軍備の拡大を続け、対外的な動きも広げている。ところが、その実態は分からないことがあまりに多い。不透明さが周辺地域と世界の不安を増幅している。

 きのう開幕した全国人民代表大会に出された予算案で、国防費が前年に比べて8・1%増えて18兆円余りに上ることがわかった。日本の防衛費の3倍強、世界第2の規模である。

 予算案にあるのは総額のほかは「強軍の夢を力強く支える」などの文言にとどまり、内訳がない。大国としてなすべき対外説明にほど遠く、中国の納税者への説明も果たしていない。

 国防省がまとめた国防白書でも、陸海空の装備などは明らかにされていない。それでも白書には軍の考え方の方向性を示す意義はあったが、2015年版の後は出していない。

 これまで公表された予算についても、新兵器開発関連を含め、算入されていない項目が多いというのが世界の専門家のほぼ一致した見解だ。

 昨年は海軍がアフリカ北東部ジブチで基地の運用を始めた。南アジアでも中国が使用権を確保した港湾の軍事転用が懸念されている。南シナ海では、埋め立て岩礁の軍事拠点化が進む。最近では原子力空母の建造も取りざたされている。

 英・国際戦略研究所の最新報告は、中国軍のステルス戦闘機や、新型空対空ミサイルの今後の配備で、空における米国の優位が揺らぐと警告した。核兵器はもちろん、サイバー、宇宙でも軍事技術を高めている。

 なぜ、軍拡を続けるのか。国際社会が納得できる説明を中国がしたことはない。無責任で危険な態度というべきだ。

 習近平(シーチンピン)国家主席は軍組織を改革し、軍全体を掌握したようだ。それでも不可解な動きがある。14年の習氏の訪印直前、中国軍が中印国境の実効支配線を越えて侵入した。最近は日中関係改善ムードの中で潜水艦が尖閣諸島に近づく事件があった。

 軍事力を絡めた外交戦術なのか。これもまたきわめて不気味な不透明さである。

 米国は新たな安保戦略で「中国がインド太平洋地域の覇権を目指している」と警戒感を示した。だが、米国が強硬姿勢に走れば、中国のさらなる軍拡を促す負の連鎖もおこりうる。

 そうしたわなを抜け出すためにも、中国軍の不透明さを少しでも払拭(ふっしょく)するよう、関係国は働きかけを強めるべきだ。核の不拡散や軍縮の協議、信頼醸成の軍事交流などを重ね、軍拡競争の広がりを避けねばならない。

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