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 森友学園との国有地取引をめぐり、財務省の決裁文書の内容が書き換えられた疑いが出ていることについて、同省が参院予算委員会の理事会に調査状況を報告した。

 驚いたのは、疑惑を本紙が報じてから5日がたつのに、問題の文書の有無すら明らかにしなかったことだ。そればかりか、これから調査を始めるかのような全くの「ゼロ回答」である。

 財務省の調査が、売却問題を調べている大阪地検の捜査に影響を与えないよう、慎重に対応する必要がある。同省幹部はそう繰り返した。

 筋の通らぬ言い分である。

 書き換えられた疑いのある文書は、与野党が合意して財務省に提出を求めたものだ。

 これが書き換えられていたとすれば、憲法に基づく国政調査権を軽んじ、国会を愚弄(ぐろう)する行為だと言わざるを得ない。

 国有地売却が適正に行われたか否か。森友問題の核心部分の検証も不可能になる。この問題をめぐる、1年余の国会審議が意味を失うことにもなる。

 仮に文書が手元になければ、地検に還付を求めることもできる。そうした努力もせずに「捜査への影響」をことさら強調するのは、調査の先送りを図っているとみられても仕方がない。

 公文書は歴史的事実の記録であり、民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源――。公文書管理法はそう定める。

 その公文書を、行政が自らの都合で書き換えていた疑いが持たれているのだ。

 国有財産を管理する財務省でそんな行為がまかり通っていたなら、行政の公平性・公正性を誰が信じるだろうか。財務省のみならず、政府全体への国民の信頼が根底から揺らぐことは避けられない。

 同省と学園側との土地取引があったのは15~16年。この際、同省近畿財務局がつくった決裁文書には、「学園側の提案に応じ」「価格提示を行うこととした」などと記されていた。

 しかし、売却問題が明らかになった昨年2月以降に国会に示された文書では、こうした記述は消え、国会で学園への便宜を繰り返し否定してきた佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(現国税庁長官)の答弁に沿う形になっていた。

 答弁の根拠は何だったのか。佐川氏を国会に呼び、詳しく問いただす必要性がますます強まったと言えよう。

 財務省に対し、事実関係を速やかに調査、公表させる。

 その責任は、野党のみならず与党も含む国会全体にあることを忘れてはならない。

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