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 このままでは2040年代に産業革命以降の気温上昇が1・5度に達してしまう――。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、気温上昇を2度未満、できれば1・5度未満に抑える目標を掲げる。しかし世界の専門家は最新の検討結果として、現状の厳しさを改めて強調する報告書案をまとめた。

 各国が掲げる温室効果ガスの削減目標を達成しても、必要な水準には足りない。気候変動は日照りや洪水などを通じて、難民の発生や紛争のリスクを高める。いま排出削減を強化・加速する方が、将来急激に削減したり被害の軽減に巨額のお金をかけたりするより長期的には安上がりだ。そう分析する。

 各国は対策の強化と加速へ、一刻も早く動き出すべきだ。

 日本の最優先課題は、すでに閣議決定した「50年までに80%削減」を達成するための長期戦略をまとめることである。

 長期戦略は各国が20年までに国連に提出する。日本など主要7カ国は「20年より十分先立って」と申し合わせた。それなのに日本では関係省庁の足並みがそろわず、検討が遅れている。

 今後、エネルギー源をどう組み合わせていくか。

 経済産業省は、原発や高効率の石炭火力発電を「基幹電源」とする姿勢を崩さない。しかし、世界的な原発事業への逆風や再生可能エネルギーの広がりなど、変化は急だ。

 環境省が再エネを主力電源にするよう主張しているのに続き、外務省の有識者会合も「世界が再エネに向かう中で、日本の立ち遅れが顕著だ」とする提言をまとめた。二酸化炭素の排出が多い石炭火力については「パリ協定と整合しない」として、国内での段階的廃止の工程表を示したり輸出への公的支援をやめたりすることを求めた。

 こうした指摘に耳を傾けるべきだ。炭素税など市場原理を生かした対策も本格的な導入を検討し、社会全体の針路を大きく変えていく必要がある。

 ガスの排出削減による気温上昇の「緩和」とともに、気象災害や農林漁業への打撃といった被害を軽減する「適応」策にも真剣に向き合わねばならない。

 政府は気候変動適応法案を国会に提出した。政府が適応計画を作り、環境相が定期的に温暖化の影響を評価して、計画を改める。自治体にも地域の計画づくりに努めるよう求める。

 行政と企業、市民が温暖化への問題意識を一致させ、制度や暮らしの見直しを進めていきたい。その旗を掲げ、取り組みを加速させるのは政府の責務だ。

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