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 製品の品質が取引先の求める基準を満たしていないのに、データを書き換えて出荷する。一連の品質不正について、神戸製鋼所が調査結果を公表し、再発を防ぐための対策を示した。

 検査記録作成を自動化するなど、不正をしにくい仕組みにする。取締役会の議長を社外取締役から選び、企業統治も強化する。その上で川崎博也会長兼社長と副社長1人が4月に辞任し、新体制で再建に取り組む。

 しかし、本当にウミを出し切り、体質を一新できるのか。そんな疑問を抱かざるを得ないほど、問題の根は深い。

 調査によると、収益偏重の経営の結果、とにかく受注を増やして売り上げを伸ばす「生産至上主義」が現場に広がった。能力以上に注文を受けた工場では、顧客が求める仕様で安定的に製品をつくることができず、不正に走ったという。

 事業部門ごとの縦割りが強く、人事交流がほとんどないため、かつて不正に関わった社員が昇進し、数代にわたって不正が引き継がれた例もある。OB2人を含む役員経験者5人が不正について関与したり黙認したりしており、取締役の間で問題が共有されることはなかった。

 驚くべき内容だが、まだ全容がわかったわけではない。一部の工場で70年代に始まった不正がなぜ、グループ会社を含む計23工場に広がったのか。明確な答えは示されていない。

 元検事らの外部調査委員会による調査について、神鋼は米国で捜査中だとして報告書自体は出さず、報告書を会社側がまとめ直したものを公表した。

 社外取締役5人がその内容を確認したというが、5人も不正の責任を免れない立場にあり、情報公開のあり方として問題がある。今後、生え抜きの取締役を少し減らして5人の社外取締役が全体の3分の1以上を占めるようにするとうたうが、機能させられるだろうか。

 神鋼では不祥事が後を絶たない。06年に環境データを改ざんして自治体に報告していたことが発覚。09年には地方議員の後援会事務所に不適切な寄付行為をしていたとして、当時の会長と社長が辞任した。今度こそ経営を刷新する覚悟が問われる。

 神鋼以外でも三菱マテリアルや東レ、宇部興産など素材メーカーグループで品質不正が相次いでいる。事情はさまざまだが、収益追求の圧力や人手不足など、現場にひずみをもたらす共通の要因もありそうだ。

 すべての企業が神鋼から教訓をくみ取り、改めて経営をチェックしてほしい。

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