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 緊張と対立が続く限り、和平への活路は見いだせない。北朝鮮が発したメッセージの真意を注意深く見極めつつ、非核化への本格対話を実現したい。

 北朝鮮の最高指導者、金正恩(キムジョンウン)氏が条件付きながら非核化の意思を示した。韓国政府が平壌に送った特使らが、金氏との会談の結果として発表した。

 4月末に軍事境界線上の韓国側で南北首脳会談を開く。さらに、「非核化問題と米朝関係の正常化」のために米国との対話の用意があるとも表明した。

 対話が続く間の核・ミサイル実験の自制や、南北首脳間のホットライン開設など、数々の前向きな合意も交わされた。

 核とミサイル開発を進め、軍事力に自信を深めた今、韓国だけでなく、米国との交渉でも利益を獲得できる。そんな思惑が見え隠れする。国際制裁の包囲網を緩めたい狙いもあろう。

 だとしても、この機会を逸することなく、朝鮮半島の恒久的な安定をめざす交渉に北朝鮮を引き寄せ続けねばならない。金正恩氏の言葉を行動に具体化させる周到な外交が、米韓はじめ各国政府に求められる。

 まず留意すべきは、国連安保理にもとづく制裁の態勢を今後もしっかり維持することだ。

 南北首脳会談は、特異な絶対的権力者に直接語りかける好機である。だが文在寅(ムンジェイン)大統領は、民族の和解を優先するあまり、過度な対北支援に走ってはならない。冷静に非核化の目標を見すえ、米朝間の交渉と並行した進展をめざしてほしい。

 トランプ米政権は、韓国がもたらした直接対話の機会を最大限尊重すべきである。朝鮮戦争以来続く米朝間の緊張は、軍事力では解決しない。まずは相手の真意をただす予備的協議を皮切りに、骨の折れる長期交渉に乗り出す覚悟をもつべきだ。

 北朝鮮が今回示した核心部分は、過去の主張と大きな変化はない。非核化には「軍事的脅威の解消と体制の安全の保証」が必要という言い回しには、かねて訴えてきた在韓米軍の撤退を求める意図が見える。話し合いは難航するだろう。

 しかし、過去の交渉の過ちを繰り返してはなるまい。05年の6者協議での共同声明は、互いに取るべき行動の順序を定め、段階的な和平づくりをめざしたが、声明以降の米朝の間に膨らんだ相互不信から崩れた。

 成果を焦れば道を誤る。だが対話なしに軍事衝突を避ける道はない。米国はじめ国際社会は「行動対行動」の原則を貫きながら、辛抱強く北朝鮮との合意を積み上げていくべきだろう。

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