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 平昌(ピョンチャン)パラリンピックがきょう開幕する。五輪に続くアスリートの躍動が楽しみだ。

 一方で東京都の昨年秋の調査によると、ニュースのダイジェスト映像なども含めて障害者スポーツの観戦経験がある人は約57%にとどまり、「リオ前」の水準にほぼ戻ってしまった。

 どうやって関心や認知度を高め、共に生きる社会を築いていくか。今月18日までのもうひとつの雪と氷の祭典を、そんなことを考える機会にしたい。

 開催地・韓国のとり組みは示唆に富む。障害者専用の国立トレーニングセンターを09年、ソウルの南東約50キロの利川(イチョン)市に建てた。トップ選手の練習環境の整備とあわせ、一般の障害者がスポーツに親しむプログラムづくりや、そのための指導者の育成を目的にしている。

 曲折もあった。国威発揚のため五輪などで活躍するエリートの育成を優先する歴史があり、センターも無縁ではなかった。しかしそうした姿勢に対する疑問や反発が国民の間に広がり、見直しを迫られているという。

 例えば、センターが力を入れるひとつが、ビッグデータを活用して幅広くアドバイスする仕組みだ。センターは自治体と連携していて、障害の内容や程度にかかわらず、全国から来訪者がある。なかにはスポーツとは縁遠い人もいる。

 その全員について、基礎的体力と運動能力を測定し、蓄積したデータを踏まえて、その人にあった競技を紹介・指導する。有能な選手の発掘につながるとの期待もあるが、なにより、体を動かすことに消極的になりがちな障害者に、意識改革を促すことがねらいだという。

 センター内の練習施設には多くのカメラが備え付けられている。選手の動きなど医科学的な解析に使うのが目的だが、施設内で行う試合や大会の映像を、インターネット経由で簡単に中継することもできる。障害者スポーツに親しむ人々を増やすための仕掛けだ。

 日本でも、東京都北区のナショナルトレーニングセンターで、障害者が優先的に使える施設の拡充が始まっている。本体の「添えもの」ではなく、障害者スポーツの競技力の向上と普及のための拠点にしてほしい。

 指導者の大半をボランティアに頼る日本と違い、韓国は15年に国家資格制度を導入し、月額20万円ほどの報酬が支払われている。

 障害者スポーツを発展させ、社会に根づいたものにするために何をすべきか。考えるヒントは、あちこちにありそうだ。

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